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「裕太……」
涼が呼び掛けた。
次の瞬間、テーブルに置いた左手が温もりに包まれた。
裕太は思わずハッと顔を上げた。視線の先にいたのは、優しい笑みを浮かべた涼であった。
「ずっと熱烈な視線向けられてたら気付かないわけないだろ。しかも、同じ大学にまで行ってさ」
「うっ……」
「あ、勘違いすんなよ。お前の気持ちを否定するわけじゃないから」
「えっ……? それって……」
「裕太が好きって俺の初恋、叶えてくれねーか?」
「おう……もちろん!」
裕太は涼の手をぎゅっと握り返し、同じような笑みを浮かべた。
レモネードのような、甘くて酸っぱかった裕太の感情は、今はただ甘いで満たされていた。
「裕太、もう一度、キスしていいか?」
「言われなくても」
誰からも見えないから、互いにそう言いながら二人はそっと唇を重ねた。
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