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第1話

中学の時、あの人のプレーを見た。 誰よりも早くて、誰よりもスリーポイントのフォームが綺麗で。 あの人は誰よりも輝いていた。 一緒にプレーがしたい。 その一心で必死に勉強して、なんとか合格出来て、すぐにあの人がいるバスケ部に入部したんだ。 -------------------------------------- 「次!」 「はいっ!!1年C組の来馬奏斗です!!ポジションはシューティングガードをやっていました!!よろしくお願いします!!」 先輩方の前で自己紹介をし、ウォーミングアップとランニングのあとで恒例だという現レギュラーと選抜された新入部員とでのミニゲーム。 中学時代そこそこの実績をあげていたオレも選ばれて先輩方と対決する事になった。 その中に、あの人はいた。 「…………」 松若雅美先輩。 オレの憧れの人。 こうして間近でその姿を見られるなんて。 「頼むぜ、松若」 「……あぁ」 オレと同じシューティングガードの松若先輩。 オレより背は低くて、一見女の子に見えるくらい華奢だけど、その強さは想像以上だった。 オレたち新入部員選抜チームは先輩の前に為す術がなく、得点を重ねられまくって大敗した。 「松若先輩!!」 試合が終わって休憩時間になると、オレは先輩に声をかけていた。 「…………」 タオルで汗を拭うその姿には、同じ男とは思えない色っぽさがあった。 「あ、あのっ、さっきの試合、先輩すごかったッス!!先輩がすごい選手だって知ってたつもりだったけど、戦って更にそう思いました!!」 「……そう……」 オレを見るその目はすごく綺麗だなと思ったけど、同時にとても冷ややかだった。 「お、オレ、先輩と同じシューティングガードだから先輩みたいに活躍できる選手になれるよう頑張ります!!」 その、冷ややかな目にオレはゾクゾクしてしまった。 そう。 この瞬間でオレは、松若先輩に惚れてしまったんだ。

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