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第25話◇

  「蒼紫?」  ぐい、と腕を引かれて、背中をドアに押し付けられた。頬に触れられて、なんだかやたら、蒼紫が近い。 「――――……学ランが一番好きだろ」 「え?」 「オレの今日の衣装。学ランが一番好き、だよな?」 「――――……っ」  かあ、と赤くなる。 「――――……さっきもこうされたかった?」  抱き締められて。ちゅ、と優しくキスされた。  顔にどんどん熱が上がっていく。 「……うん」  こんな至近距離で見つめられて、嘘なんかつけない。  頷くしかなくて、そしたら、蒼紫がふ、と笑って。  キスした唇から、舌が挿しこまれた。 「……ん……ぅ」  舌が触れ合って、絡んで。吸われる。 「……待っ……」  だめだ、オレ、また顔、落ち着かなくなっちゃうから。 「あと少しだけ」 「――――……っ」  ――――……ファンの女の子達が、セクシーだとかカッコよすぎるって褒める、蒼紫の瞳。超至近距離で、熱っぽく、緩む。  ……テレビの、蒼紫の、比じゃない…………。 「――――……っ」  ぞく、と背に震えが走って。  丁寧に、舐めつくされるみたいにキスされて、離された。 「――――……お前の学ランも、すげえそそるし。なんかやらしい」 「……やらしい?」  真正面から言われた言葉に、かあっと赤くなりながら、蒼紫を見つめると。 「カチッと着られてると、脱がせたくなるし。襲いたくなるよなー……」  むぎゅ、と抱き締められる。  かああああっと、顔にすべての血が集まっていく気がする。  息、まともに、できない……。 「仕方ない。着替えるか――――……あ。脱がせてやろうか」 「え? え……ちょ」  学ランのボタン、ぷちぷち外され。中のシャツのボタンも外される。  蒼紫の手が、する、と胸に這って。心臓が、どきん!と震えた。 「や、やめ……」 「――――……可愛すぎなんだけど、お前……」  ぷるぷる震えてると、蒼紫はくす、と笑って、頬にキスして、オレを離した。 「だめだこれ以上触ってたら、まずい。――――……着替えるか」  よしよし、とオレの頭を撫でながら、ハンガーがかかってる方に歩き出す。  ドキドキが収まらなくて、呆然と、歩いてく蒼紫を見てたけど。  あ!と大事な事に気付いた。 「あ、蒼紫、ちょっと待って」 「ん?」 「脱がないで待ってて」  オレは自分の鞄からスマホを取り出すと、蒼紫に向けた。 「カッコいい顔して?」  ぷっと笑ってから、蒼紫がカメラに向けて、笑ってくれる。  シャッターを押して、学ラン姿の蒼紫、ゲット。 「それ何すんの」 「見る」 「……何で」 「何でって。学ランの蒼紫、レアだから?」  ぷ。蒼紫にまた笑われる。 「――――……なんか。お互いこんなにダダ漏れになるのに、よく、ばれないように我慢してたな……」 「……当り前じゃん。バレないことに最大限気を使ってたもん」 「――――……お前、さっき、撮影で最後見つめ合った時、照れたろ」 「あ……」 「ちょうどOKかかって良かったけど」  言いながら蒼紫が上着を脱いでハンガーにかけてる。 「もいっかい、気合いれろよ。バレるぞ」 「……ていうか、蒼紫が」 「ん?」 「蒼紫が、今までと違う感じで、オレに笑いかけたりするから、だもん」  そう言ったら、蒼紫は、え、と固まって。 「そうだった?」  と苦笑い。 「そう言われると、確かに可愛いと思ってたな……」  オレも蒼紫にボタンを外されたままの上着を脱いで、ハンガーにかけながら、蒼紫を見つめる。 「オレ、見つめ合った時は、大丈夫、耐えれる、て思ったのにさ」  恨めし気に言うと、蒼紫が苦笑い。 「……お互い、気合、入れるか」 「うん。そだね」 「とりあえず当分はバレないように、行こ。邪魔されたら嫌だし」 「うん。分かってる」  うんうん、とめっちゃ頷いて。  ぷ、と笑った蒼紫に、頬に触れられて、ぷに、と摘ままれた。 「2人きりじゃない時は、触んねえから」 「ん」 「寮帰ったらいっぱい触る」 「……うん」 「つか。そろそろ着替えねーとヤバいか」 「うん」  ぷ、と笑いあって。  オレ達は、急いで、着替えに入った。  

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