25 / 62
第25話◇
「蒼紫?」
ぐい、と腕を引かれて、背中をドアに押し付けられた。頬に触れられて、なんだかやたら、蒼紫が近い。
「――――……学ランが一番好きだろ」
「え?」
「オレの今日の衣装。学ランが一番好き、だよな?」
「――――……っ」
かあ、と赤くなる。
「――――……さっきもこうされたかった?」
抱き締められて。ちゅ、と優しくキスされた。
顔にどんどん熱が上がっていく。
「……うん」
こんな至近距離で見つめられて、嘘なんかつけない。
頷くしかなくて、そしたら、蒼紫がふ、と笑って。
キスした唇から、舌が挿しこまれた。
「……ん……ぅ」
舌が触れ合って、絡んで。吸われる。
「……待っ……」
だめだ、オレ、また顔、落ち着かなくなっちゃうから。
「あと少しだけ」
「――――……っ」
――――……ファンの女の子達が、セクシーだとかカッコよすぎるって褒める、蒼紫の瞳。超至近距離で、熱っぽく、緩む。
……テレビの、蒼紫の、比じゃない…………。
「――――……っ」
ぞく、と背に震えが走って。
丁寧に、舐めつくされるみたいにキスされて、離された。
「――――……お前の学ランも、すげえそそるし。なんかやらしい」
「……やらしい?」
真正面から言われた言葉に、かあっと赤くなりながら、蒼紫を見つめると。
「カチッと着られてると、脱がせたくなるし。襲いたくなるよなー……」
むぎゅ、と抱き締められる。
かああああっと、顔にすべての血が集まっていく気がする。
息、まともに、できない……。
「仕方ない。着替えるか――――……あ。脱がせてやろうか」
「え? え……ちょ」
学ランのボタン、ぷちぷち外され。中のシャツのボタンも外される。
蒼紫の手が、する、と胸に這って。心臓が、どきん!と震えた。
「や、やめ……」
「――――……可愛すぎなんだけど、お前……」
ぷるぷる震えてると、蒼紫はくす、と笑って、頬にキスして、オレを離した。
「だめだこれ以上触ってたら、まずい。――――……着替えるか」
よしよし、とオレの頭を撫でながら、ハンガーがかかってる方に歩き出す。
ドキドキが収まらなくて、呆然と、歩いてく蒼紫を見てたけど。
あ!と大事な事に気付いた。
「あ、蒼紫、ちょっと待って」
「ん?」
「脱がないで待ってて」
オレは自分の鞄からスマホを取り出すと、蒼紫に向けた。
「カッコいい顔して?」
ぷっと笑ってから、蒼紫がカメラに向けて、笑ってくれる。
シャッターを押して、学ラン姿の蒼紫、ゲット。
「それ何すんの」
「見る」
「……何で」
「何でって。学ランの蒼紫、レアだから?」
ぷ。蒼紫にまた笑われる。
「――――……なんか。お互いこんなにダダ漏れになるのに、よく、ばれないように我慢してたな……」
「……当り前じゃん。バレないことに最大限気を使ってたもん」
「――――……お前、さっき、撮影で最後見つめ合った時、照れたろ」
「あ……」
「ちょうどOKかかって良かったけど」
言いながら蒼紫が上着を脱いでハンガーにかけてる。
「もいっかい、気合いれろよ。バレるぞ」
「……ていうか、蒼紫が」
「ん?」
「蒼紫が、今までと違う感じで、オレに笑いかけたりするから、だもん」
そう言ったら、蒼紫は、え、と固まって。
「そうだった?」
と苦笑い。
「そう言われると、確かに可愛いと思ってたな……」
オレも蒼紫にボタンを外されたままの上着を脱いで、ハンガーにかけながら、蒼紫を見つめる。
「オレ、見つめ合った時は、大丈夫、耐えれる、て思ったのにさ」
恨めし気に言うと、蒼紫が苦笑い。
「……お互い、気合、入れるか」
「うん。そだね」
「とりあえず当分はバレないように、行こ。邪魔されたら嫌だし」
「うん。分かってる」
うんうん、とめっちゃ頷いて。
ぷ、と笑った蒼紫に、頬に触れられて、ぷに、と摘ままれた。
「2人きりじゃない時は、触んねえから」
「ん」
「寮帰ったらいっぱい触る」
「……うん」
「つか。そろそろ着替えねーとヤバいか」
「うん」
ぷ、と笑いあって。
オレ達は、急いで、着替えに入った。
ともだちにシェアしよう!