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第36話 交わり(ライオネル視点)

 ーー紫音と初めて体を繋げた日。  王子という事で、閨の作法などは心得ていたし、付き合い等の関係で女性と体を繋げた事もある。  別に率先してやりたいとは思わなかったが、体の快感は知っていた。  でも、紫音との交わりは今までの女達とは全く違った。  繋がっている心に、体も繋げ、他人同士が交わり、1つになるになるという事がどんなに幸せなのかを知った。  ライオネルもまた、紫音との交わりで本当の快感と幸福感を知ったのだ。  交わっている最中も紫音が命を燃やしているのを感じた。  繋がったら余計にもう限界にきていることが分かってしまった。  意識を失ってしまった動かない紫音に中出し続ける俺を見たら、みんな気が触れたとでも思うだろう。  刻一刻と広がる死の匂いの中、交わり続ける。  命の灯火が消えかけていることを感じて悲しみが膨れ上がるが、紫音が愛おしくて愛おしくて、全く萎えない。  ……自分でも頭がおかしいんじゃないかと思う。  でも、俺の龍人の血が濃いと言うのなら、一縷の望みにかける。  ーー結局、ライオネルは朝まで交わり続けた。 ♢♢♢  ライオネルは朝まで交わった後、ドロドロの紫音の身を清め、紫音を抱きしめて昼まで寝た。  ライオネルが起きて紫音を確認すると、高熱を出していた。  夜になっても一度も起きなかった為、宮廷医にも診てもらうと昏睡状態だと言われた。  宮廷医が退室した後、ライオネルは動かない紫音をまた抱いては何度も中に己の欲望を解き放つ。 ♢♢♢  次の日、執務室に行くと心配した顔をしたアインとルイスに迎えられた。 「この間より酷い顔をしてますよ。寝てないんですか?」 「寝てはいるが……」  実際、いつの間にか紫音が息を引き取ってしまうのではないかと心配で、寝ても1時間もしないうちに目が覚め、紫音がまだ生きてる事を確認して、眠りにつくという事を繰り返している。 「昏睡状態に入ったと聞きました。仕事も手につかないでしょうから暫く休んでいて良いですよ。私ができることはやっておきますので」 「そうか。……悪いな。頼む」  ライオネルは暗い顔のまま、執務室を出て行った。 「ライオネル様はシオン君の死を乗り越えられますかね」  ルイスは誰にともなく呟く。  アインとルイスから見るライオネルは、紫音が死んだら自分も後を追いそうな危うい雰囲気が漂っていた。 「ライオネル様はまだまだこの国に必要な方だ。乗り越えていただかないと……」  アインが心配気に呟いた。 ♢♢♢  自室に戻ったライオネルは紫音のそばに行く。  相変わらず高熱を出し続けている。  結局あれから一度も目覚める事は無かった。  夜になるとまた泣きながら抱いた。まるで何かに取り憑かれているように。 「シオン、愛してる、まだこの世界で一緒に生きよう……俺を置いて逝くな」

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