ーー紫音が昏睡状態に陥って3日。一度も目覚めていないし、高熱は引かない。 　回復魔法を使っても、水をザルに入れて溜めようとでもしているように、効かなくなった。 　どの道、栄養が取れない今の状態では遅かれ早かれ死ぬ未来しかない。 　静かに眠る紫音の顔を見ながらライオネルは隣に寝そべりぼんやりと考える。 　愛など知らなかった自分がこんなに紫音を失う事を恐れるなんて、なんだか笑える。 　今なら紫音のあの死にたがる意味が少し分かった気がした。 　紫音の目が覚めなかったら、生きてる意味が分からないし、どうやって後を追おうかと考える。 　曲がりなりにも、第三王子であり宮廷魔道士長でもある為、さすがに直ぐにとはいかないが最低限の引き継ぎ資料だけ作ったら、遠征にでも行ってそのまま…… 「こらこら、君まで堕ちないでくれるかな？」 　急に聞こえた声に驚き顔をあげる。咄嗟に紫音を守る為抱きあげようとして隣に紫音がいない事に気がついた。 　さっきまで隣にいたのにと、急にいなくなってて動揺する。 「あー。大丈夫、君は紫音の隣で寝てるだけだから」 　鏡みたいなものが浮かび上がると、そこには紫音と紫音の隣で寝ている自分の姿が映っていた。 　鏡（？）越しだが紫音を確認出来ると、いつの間にか自室ではあるが、何処か自室ではない作り物めいた空間に自分がいる事に気がついた。 「ここは……」 「そんなことより。私の紫音は優しくて繊細でとっても臆病な子なの。貴方ちょっと幻想を抱きすぎなのよ！　あの子は臆病で、心を許した相手に嫌われる事含めた”失う”という事を極端に恐れているわ。だから、感情を隠す事も上手いし、相手の求められるものに応えようとしてしまうの。紫音が好きなら貴方の感情より紫音の感情を優先させなさい！　それ位じゃないと疎い貴方は紫音の感情の機微を察する事は出来ないわ！　分かったら絶望してないで、紫音を呼び戻す努力をしなさい！　貴方が紫音にまた絶望を味合わせたら、貴方の立派な貴方をちょんぎるわよ」 　突然現れた黒髪の女性の一方的な剣幕に驚いて声が出ない。 　ついでに玉もヒュンッと縮まった。 「あ、の、もしかしてシオンの母君でいらっしゃる？」 「そうよ」 　黒髪という事は同じだが、紫音のように美人でもなければ、瞳の色も違う。 　それに紫音から聞いて思い描いていた母親の印象はもっと儚い印象をイメージしていたので、意外すぎて最初は結び付かなかった。 「とにかく、私は時間がなくてもう行くけど、紫音が戻ってくるかどうかは貴方にかかってるわ。貴方の方法は間違ってないから頑張りなさい。そして、2人が一生懸命生きたら、私に挨拶しにきなさい。ライオネル君」 　と、ライオネルの返事も待たず一方的に言って消えていった。 　ライオネルはハッと目を覚ます。すかさず隣を確認すると先程と変わらず、静かに寝てる紫音がいた。 「（……今のは……）」 　どうやら横になって少し寝て夢を見てしまっていたようだ。 　夢の事もあり熱が下がっていないか紫音の額に手を置くが、相変わらず高熱だ。 　絶望が襲ってくるが、まだ紫音は生きている。 　紫音が生きている限り俺がやれる事は全部するのだ。 　熱で熱い吐息を吐く紫音の口に舌を絡ませ長いキスをする。 「シオン好きだよ。まだ逝かないでおくれ」 　そのままシオンの後肛をほぐす。ライオネルが回復すればヤっていて、先程ヤった精液もまだ中に残っているので、すぐに挿れられるだろうと指を抜くと、自身を取り出して挿入する。 「くぅ、、あぁ、、シオンの中は気持ちいいよ」 　中をゆっくりかき回す。 「シオンが戻ってきたら、恋人同士のSEXを教えてあげるよ。シオンも知りたいでしょう？」 　ーーパンッ、、、パンッ、、、 　中をかき回しては奥まで突くを繰り返す。 「はぁ、、それで色んなSEXを、しよう、、恋人同士のSEXは、幸せを、感じられる、んだよ、SEX、以外にも、まだ、恋人として、やって、ないこと、いっぱい、あるから、ねぇ、シオン」 　ーーパンッ、パンッ、パンッ 「はぁ、はぁ、それで、恋人、期間が、終わったら、結婚、しようよ、シオン、ねぇ、シオン、シオン、シオン」 　少しずつ動く速度を早めて高めていく。 　ーーパンッ、パンッ、パンッ、ドピュッ 「くぅ、ぅ、」 　ラストスパートとばかりに激しく突くと中に出した。 　そして熱で火照った体のシオンを抱きしめ、一滴も漏らさないように緩く動き出し切る。 「だから逝かないで、一緒に生きよう、愛してるよ、シオン」 　泣いている顔を隠すようにシオンの首元に顔を埋める。 　まだ、頑張らねばと思うけど、心が折れそうで溢れる涙は止まらない。 　何度話しかけても返って来ない返答、どんどん悪くなる容態、刻一刻と濃くなる死の匂い、自分がやっている行為は間違いでただの凌辱なのではないかという戸惑い、何が正解か分からない中、1人で戦いライオネルも辛いのだ。 　静かな部屋にライオネルの嗚咽だけが響く。 「……ラ、イ……、いっ、しょ、に、い、き、よ、う」 　うめくような小さな声に、一瞬何が起こったか分からず、続く言葉に弾かれたように顔をあげた。 　そこには、熱で辛そうではあるが、しっかりとライオネルを見つめるシオンが居た。