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第2話:恋の終わり。***(1)

 ユーリアンはいい奴だった。彼には今年8歳になる腹違いの弟がいるらしく、兄上と頼ってくれるのが嬉しいのだとか。そんな他愛ない会話が楽しくて、オレ達は人知れず舞踏会を抜け出してはこうして話をした。  3日目の晩。今夜でヴァレンティーン王家が所有するこの城で過ごすのも最後。  今日も舞踏会を抜け出した。  いつもなら会っている時間なのにユーリアンはまだ来ない。  トクン、トクン。  オレの胸がいつもより大きく鼓動している。  なんでこんなにドキドキしてるんだろう。  気分は兄を待つ弟ってとこかな?    なんて考えていたから背後から忍び寄ってきた人影に気づかなかった。口元を布で覆われた。  気を失っていたらしいオレが次に目を覚ましたのは、冷たくて硬い床の感触だった。 「お姫様のお目覚めか」  聞いたことのない低い声がする。  狭くてジメジメしたこの場所は馬小屋だろうか。  灯された蝋燭の炎が隙間風によって揺れる。目の前にはフードを深く被っていて顔はわからないけれど体格からして男だろう3人組がオレを見下ろしていた。 「お前達は!?」  抵抗しようにもオレの両手足が縛られていて動けない。 「俺たちが何者でもお嬢ちゃんにはどうだっていいことだ」

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