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第4話 悪夢とへんしん
『________誰かと幸せになって。』
『_________そうしなきゃ、アンタも……』
「……!!!!」
慌てて飛び起きる。
久しぶりに気分の悪くなる夢を見た。
「はぁ………はぁ…………」
薄いカーテンの向こうが暗い。
時計を見ると、AM 500 が緑に光っている。
まだ、一時間寝れる。
再び布団に潜り込むが、寝付けない。
しかたなく、ボーッと、光る時計のパネルを眺めていた。
緑、あの占い師の、瞳の色。
ふと、思い出した。
仕事上、外国人と合うこともあったけど、あんなに美しい目の人は初めて見たかもしれない。
占いの途中、顔が隠れて余計に強調された緑の目に、だんだん俺の全てを見透かされていくようで、恐怖さえ感じた。
今もちょっと思い出す度、少し寒気がする。
……ちくしょう。目が冴えてしまった。
まだ早いが、起きることにした。
ゆっくり布団から出ると、
「寒っ」
思わず身震いする。
そういや昨日のニュースで冷え込むと言っていた。
一瞬布団に戻りたかったが頑張って外に出る。
今日は3時までコンビニバイト、デートの待ち合わせは5時頃なので、ちゃんとした支度は一旦帰ってきてからでも良いだろう。
ちゃちゃっと顔を洗う。何処かに置いてしまった眼鏡を探しながら、冷蔵庫にあった期限ギリギリの惣菜パンを咀嚼し、地味なトレーナーとスラックスに着替えて家を出た。
◇◇◇◇◇◇
バイト先は歩いて15分くらいのところにあるコンビニ。
人通りが少ない場所にあるため、混雑する事があまりなく、業務も人間関係も非常に緩い。
給料は高くないが、楽な仕事だと思う。
バイトの休憩中、スマホの通知に『ハジメさんから新しいメッセージが届いています』と書かれていた。
ハジメさんは今日会う予定の人だ。勿論本当の名前じゃない。
『こんにちは。今日××駅前の居酒屋○○の前で待ってます。』
飲んでからホテルに行こうというところか。
そういうの、嫌いじゃない。
『分かりました。今夜楽しみにしてます。』
イチゴミルクを啜りながら、簡単に返信した。
◇◇◇◇◇◇
「ふぅー……」バイトから帰宅し、急いで支度をし始める。
今着ているトレーナーを脱ぎ、白黒のストリート系パーカーに着替えた。
洗面所に立ち、ミルクティーベージュに染めた髪の根元が黒いことに気付いた。
______そろそろ染めなきゃな…床屋予約入れとこ。
顔を洗い、目に度付きの青いカラコンを入れ、ピアスを耳に着けていく。因みに髭は殆ど生えないので確認だけ。
軽くコンシーラーとパウダーで軽く化粧をし、最後に髪にソフトワックスを塗ったら完成。
「……よし」
鏡に映るのはいつもの自分。
時計はもう4時を指していた。
××駅は最寄り駅から2つ隣だから、そろそろ出発しないと遅れる。
ショルダーバッグに貴重品と必要なものを詰め込み外に出る。
『sexしないで下さい』
一昨日占い師に言われた言葉が頭を過るがもう気にしない。
あんな胡散臭い占いなんて信用できるか!!!!!
俺は自分で運命を見つけてやる!!!!!!
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