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第3話 出会いの予感???
「でも、恋愛のためにsexしちゃいけないなんて彼も堂々と言ったものね~」
真梨子さんがグラスを拭きながら言った。
「こっちからしてみればsexしない方がおかしいけど~」
「そうだよねー」とうんうん頷く。
ごもっともな話だ。
俺たちは所謂『夜の人間』。
繁華街から離れた小さな色街で、酒や汚い金が絡むお仕事をしている。
もちろん体を売ることも。
俺の場合、昼間コンビニでアルバイトをしながら、夜はボーイズバーで働いている。
シフトが入っていない日はずっと一人遊びをしているか、SNSで男を吟味してオフパコ。
運が良ければそのままお付き合いすることもある。
生粋のゲイでネコの俺にとって、sexは切っても切り離せないのだ。
「まー、所詮占いだし」
真梨子さんから差し出されたお冷やを一気に流し込む。
一気に体の熱が下がっていく感覚が気持ち良い。
「そう言えば、シオンちゃん明日だっけ?例の人に会うの。」
「あー、うん!!そーだよー!」
例の人、最近SNSで知り合った男性。
最初はただチャットするだけだったが、お互いの条件などを見て会うことになった。
幸いあちらも、お付き合いを前提に会いたいとのことだった。
「早速ね~!!良かったじゃない!!さっすが~」
「あっはは……」
真梨子さんがパンパンと肩を叩いてくる。
本人は軽い感じで叩いてるみたいだけど、そこは男の力。結構痛い。
「あ~~いいな~~、私も若い男と付き合いたいな~~~~」
「もー、真梨子さんは立派な旦那さんいるでしょー!!」
「あ、そうだった~ !!!」
てへぺろ☆とちょっと古いノリで返した後、少し真面目な顔つきになる。
「今度こそ……上手くいくといいわね…」
「………うん」
その言葉で痛烈に蘇ってしまった過去の記憶。
二股、詐欺、DV、ATM扱い…etc.
真藤シオン、22歳。
男運0で死にそうです。
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