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第10話 絶叫

「あ゛ー!!!!!!またダメだったーーー!!!!!」 俺はカウンターに突っ伏した。 「え、また~!?」 目の前で林檎を剥いていた真梨子さんが目を丸くする。 彼女のお店は夕方まで普通の喫茶店、夜はバーという形で営業している。 俺はモーニングを食べに来たついでに、出会い系サイトで気になった人に片っ端から連絡していた。 のだが………… 「さっきから連敗でしょ~!!?」 「うわーん!!!!!これで5人目ーーー!!!!!」 …惨敗。 1人として男が捕まらない。 「いつもなら一発OKじゃない!大丈夫!!?」 「だいじょばない…」 泣きそうになりながら、放置していた玉子サンドを口に入れる。 程よい塩加減の玉子ペーストが慰めるかのように、滑らかに食道を伝っていく。 「先日のことがあってから不漁続きね……もしかして、変な噂流されたとか…!?」 「へ、変な噂って…?」 「ほら、この前のことよ~!!!!!」 この前…… 確かに、あの日の修羅場に巻き込まれてから、以前のように簡単に。 自分が軒並み登録しているサイトやSNSでも断られたりブロックされてるし。 偶然誰か知り合いに見られて情報が拡散したとしたら………… あーーーー!!!!!脳内で次々と嫌な考えが巡ってくるよーー!!!!!! 「あ~、それは無いと思いますよ~!!」 そうだよね、さすがに………ん? 「今回の件、あのお二人には予め口止めしていますし、SNSについても流出はしてませんよ~!まあ、例えしてたとしても異議申し立てして消してもらいます~」 このへらへらとした掴み所の無い声は………… 後ろを振り返ると、先ほど迄誰もいなかったテーブル席でオレンジの髪の男がこちらに手を振っている。 「いや~、先日ぶりですね~シオンくん」 な、 「なんでいんのさーーーー!!!!!!!!!!!!」 店の外まで響きそうなくらいの絶叫が響いた。

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