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第9話 番外編 けいたんの独白

こんにちは。 今回はシオンが占いのときにどんなことを言われたのかという番外編です。 けいたんこと品川の目線で少しまとめました。 大丈夫という方のみお進みください。 ######## 皆さんこんにちは、品川桂太郎と申します。 年は27、探偵をやってます。 探偵……といっても、有名なホームズみたいに犯罪を推理するようなことは全然ありません。 浮気や行方不明を理由に身辺調査をする、地味な仕事です。 面白いし、とてもやり甲斐があるんですけどね~ 一方で、 最近は副業で『けいたん』として、占い師のお仕事もしています。 自分で言うのも難ですが、昨年あたりからはテレビに雑誌に引っ張りだこです。 今、相談予約をしても数ヶ月先になっちゃいます。 実のところ、本職よりも稼ぎが良くなってます。複雑ですね~…。 因みに今は占い師のお仕事中です。 着物の上からフード付きの羽織、口隠し…。 身バレしないための装備ですが正直暑いです。 冬なのにね~。 暖房低めにしましょう。 さてそろそろ相談相手が来る時間です。 そういえば、元々予約していた方が急用で来られなくなったみたいで。 今からどんな人が来るんでしょうね~。 わくわくですね~。 「あの、お願いします…」 恐る恐る入ってきたのは、背の低くて中性的なお客さんです。 薄いベージュの髪がライトに当たって白く見えます。 声のトーンから考えると男性ですね。 「はじめまして。どうぞお座り下さい」 彼に着席を促したとき、 「目、すっごく綺麗………」 「え?」 どうやら目が見えてしまったみたいですね。 実は僕、ハーフなんです。 だから、目も髪も元から派手派手な色してるんですよね~ 目を褒められることは良くあることです。 でも嬉しいですね~ 彼が椅子に座ったタイミングで診断書とボールペンを渡す。 かなり度が入った眼鏡、ブラウスにくすみブルーのカーディガン、下はジーパン… 街でよく見かけるような格好ですが… 彼の身体に染み込んだアルコールとニコチンの匂いが鼻を掠めた。 (…喫煙してますね。あとお酒もよく飲む。) 僕は探偵業で培った観察力を元に、彼のありのままを推理していく。 勿論後でちゃんとタロットとかで占いますよ~ (視力悪い……目の下にくま…夜職。顔のむくみと手の荒れ様からバーテンか。) 彼はこちらが観ていることにも気づかぬまま、診断書の記入欄を埋めていく。 時折髪を邪魔そうに弄っている。 (生え際は黒い………髪染めてる。) (耳には何もつけていないが無数のピアス跡) (目にはよく見るとカラコンが入ってる。目は赤い。瞼のむくみ……泣き疲れ?) …所謂、地雷系とか量産型というのでしょうか。 彼からは過去に観てきたそういう女性たちと同じ感じがします。 地味に装ってるようですが、結構やんちゃさんなんですかね~ 「これでお願いします」 書き終わった紙を渡してくる。 真藤星苑、丁寧な字でそう書かれていた。 12/26生まれで今年22歳、o型。 もう職についてるとのこと。 「真藤さん、今日は恋愛についてのご相談ですね?」 「はい」 こくんと頭をふる。 「他に何か聞きたいことはありますか?」 「…とりあえず、今年の運勢は知りたいです。」 「そうですよね、年始めですし~。じゃ、一年の全体運も調べますね」 そう言って僕はテーブルに置いていたタロットカードを手に取った。 結論から言うと、彼の運命はとても興味深い内容でした。 総合運と仕事運に関しては普通です。 金運は失せ物しやすい星が出てました。特に金品。 おっと、話を戻しましょう。 彼の恋愛運は現在0に等しい。 すっからかんなんです。 というか元々、恋愛運自体があまり良くないんですね、彼。 とにかく、この状態だと恋愛ごとは上手くいきません。 占いの時も、最近一年一緒だった人と別れた、とか、かなり悪い人と付き合ってたエピソードを聞きました。 この一年は運をセーブしていくことが重要みたいで。 その方法というのが 「一年間だれともsexしちゃいけない」 というものだったんです。 しかも、無理矢理行動しようとすれば、邪魔が入るというオプション付き。 ただ、それを聞いた本人は呆れた後焦っていましたね。 多分誰かと会う約束でもしていたんでしょうか… もうひとつ気になる点が。 手相を観ているときに、気づいたことがあるんです。 生命線が短いし、薄すぎる。 びっくりしちゃいましたよ。 今までたくさんの人見てきましたけど、あれだけ極端に短い人は初めてですもん。 彼のデータをもう一度振り返ってみましたが、健康運は安泰そのもの。 強いて言えば、目に怪我するかもしれないというくらいで。 事故を起こす兆候も見られない。 あの長さから推測すると、…彼の命は残り一年。 なので、自分の観察したことで出来るだけの忠告はさせて頂きました。 「お酒と煙草は控えて下さい」とか 「カラコンはあまりつけないように」とか。 おかげで、彼からはちょっと嫌な顔をされましたけどね~あはは。 「…彼に、何があるんでしょうかね?」 ピピピ、ピピピ 部屋にアラームが響く。 ああ、もうこんな時間でしたか。 今日の占い師のお仕事はお仕舞いです。 閉店がらがら~ 「さて」 コスプレみたいな着物を脱ぎ、準備しておいたスーツに着替える。 フードを脱ぐとオレンジ色の髪がぺったりとなってしまっていた。 急いで整え、ビルのひとつ上の階へ。 事務所にはもうすでに依頼人がソファーに座っていた。 「お待たせしました。それでは、明日の作戦を立てましょうか」

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