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「被虐〜ひぎゃく〜」

@8643a3eac3dd74さんからのリクエストで書かせて頂きました。 @8643a3eac3dd74さん、ご依頼ありがとうございました。 「被虐〜ひぎゃく〜」  箕楼剣一:(みろうけんいち)はスマホに表示させた首都ビッグサイトで開催される企業のPRイベントの求人広告を眺めていた。 (時給二千五百円? マジかっ!)  イベントのバイトなら、女子のコンパニオンならこの時給も納得できる。だが男のバイトは殆どが会場の設営から撤去までの力仕事ばかりなのが定石で、まして時給なんて女子の半分にも満たないのが普通だ。なのにこのバイトは何なんだ?  それが剣一の第一印象だった。  イベントの開催期間は七月の終わりから二日間だから、ちょうど大学の夏休みでもある。 (応募してみるか)  だが募集条件には水着審査への参加が条件だと書いてとある。 (これって男のコンパニオンってことなのか?)  剣一はどうせ受からないだろうと思いつつも、スマホに表示された応募画面をクリックした。 ***  剣一は肌寒さで目を覚ました。と同時に強烈な不安に襲われた。  部屋の照明は、天井の数カ所からスポットライトのような白熱光が剣一に向けて当てられていた。辺りをさっと見渡してみる。すると肌寒さの理由が理解できた。剣一が着ている薄いシルク地のようなシャツは胸元が大きくはだけ、両手は拘束され、下半身は下着さえ着けていないではないか。 (ここ、どこだ? 俺はどうしてこんなところに……)  記憶を辿ろうとしても、曖昧な記憶に整理がつかない。  確かなことは、バイトの面接に参加するため都営地下鉄に乗って移動していたことと、面接会場が見当たらずに、書類に書いてあった番号に電話を入れたところくらいだ。その先がどうしても思い出せない。  そして今、自分は真っ白な部屋、真っ白なシーツの上でベッドの柱に皮の紐のようなもので縛り付けられていた。  下腹部に重く、鈍い痛みがある。 (俺は、まさか、誰かに監禁されたのか?)  口の中に鉄錆のような味がする。恐る恐る舌を近づけてみると唇の端に痛みがある。おそらく殴られたのだろう。事実を繋ぎ合わせることに嫌悪を覚えながら、それでも思い出さなければならない。そしてここから逃れなければ。  不意にドアが開き、剣一は数人の人間が部屋に入ってくる気配を背中に感じた。剣一は両目を閉じ、息を殺した。  今の剣一には恐怖感はなかった。むしろ怒りが止めどなく湧き上がっていた。 「目を覚ませ。主に奉仕をする時間だ」  剣一は相手に背中を向けたまま、思わず目を見開いた。同時に恐怖に包まれていく感覚を覚えた。いや、正確には思い出した、と言うべきか。 (俺は強姦されたんだ……)  絶望的な気分に押しつぶされそうだった。同時に吐き気を催しそうになる。 (俺は男に強姦されたのか?)  そして今、その強姦魔が戻ってきたのだ。 「少しは大人しくする気になったか? さもなければまた痛い思いをすることになるぞ」  剣一はいきなり髪の毛を掴まれた。まだ痛みの残る腹筋が苦しくて、思わずだらしない声を漏らしてしまう。 「そのかわいいお口にぶち込んでやりたいが、噛みちぎられてはたまらん。だが下のお口は噛みつきはしないからな。しかもなかなか具合がいい」  剣一は顔を見てやろうと男に顔を向け睨みつけた。だが男たちは仮面をつけていた。もっとも顔を見たとしても、どこの誰かわからないような気がした。  男は三人だった。  一人は剣一の顔を上に向かせて、ベッドに押さえつけた。強い力だ。もう一人が剣一の右足を抱え込むようにして、剣一の右側に横たわった。最後の一人、汚らしい言葉を吐いた男は剣一の左足を抱え込むと、剣一の尻の穴に冷たい液体のようなものを塗りつけた。  思わず声を上げそうになる。剣一はそれがまるで自分の意思とは関係なく、何かを求めるように疼いていることに気付いたからだ。 (俺は一体どうしたって言うんだ?)  剣一は不覚にも涙が零れた。 「さあ、またいい声で啼いてみろ。ケツに入れてくださいと懇願してみろ!」  剣一にとって、こんな辱めは耐えられなかった。だが体は自由が利かない。これでは奴らにされるがままだ。  まるで火箸でも当てられたような痛みが走る。男の怒張したモノが強引に剣一の後門に突き入れられた。 「ぐああっつ!」  いきなり右側にいる男に頬を平手打ちされた。男は剣一の乳首を強く吸いながら、剣一のうなだれた股間を弄る。  自分の尻に、あの憎らしい男が腰を打ち付ける。平手打ちのように肉を叩きつける音が部屋中に響く。剣一は尻から頭頂部にまで響く痛みに大声を上げた。もし誰かが聞きつけてくれたら、こんな惨たらしいリンチは幕を閉じるだろう。  だが剣一の僅かばかりの期待は叶いそうになかった。  悔しかった。こいつらが憎くて仕方なかった。  だが次第に剣一の身体は剣一の理性と切り離されていく。剣一は自分が勃起していることに愕然とした。  こんなに酷いことをされているというのに、身体のあちらこちらが痛みで悲鳴をあげているというのに、剣一の中の何かがそうされることに喜びを感じているように思えて、涙が溢れた。 「何だ、感じているのか? こんなに勃起させやがって」  腰を打ちつける動きが止まった。本当ならば痛みから解放されることに安堵を感じてもいいというのに、剣一の身体は渇きを訴えてくる。 (もっと、もっと深く突いて!)  剣一は腰を捩って相手の怒張を感じ取ろうとした。 (俺は、俺は何をしているんだ?)  絶望的な感情に襲われていく。また涙が零れた。 「そんなに欲しいのか?」 「違うぅううう!」 「ならもっと気持ちよくしてやろう」  再び男が腰の律動を始めると、右側の男が屹立した剣一の陰茎を上下に扱き始めた。 「うわあぁああ!」  剣一は腰から下が溶けてしまいそうな快感に襲われた。もうこれ以上相手を興奮させるような声を出したくはなかった。  だが押し寄せる未知の欲情に抗うことが出来なくなりそうだった。 「いい声で啼くじゃないか。え?」  恥ずかしさと悔しさに、剣一は目を閉じた。  男の腰の動きはでたらめに激しさを増し、今まで痛みだと思っていた感覚は快楽へと昇華されつつあった。強く扱かれた剣一の肉棒からは透明な熱い液体が滲み出ていた。 (だめだ、俺は、俺はどうかしてる)  剣一の理性は断末魔の声を上げた。 「ここか? ここが気持ちいいんだろ? 言ってみろ。ここを突き上げて下さいと言ってみろ!」 「ああああ、そこ……そこを……もっと、もっと激しく突いて!」  そして剣一は意識を手放した。  剣一は急に揺り起こされた。 「さあ、もう終わりだよ。もう午後十時だ。今日は疲れただろう?」  剣一が目覚めたのは衝立だけの簡素な個室の中だった。ゆっくりと記憶が蘇ってきた。そこは剣一が受け持つ首都ビックサイトのブースの一角だった。  剣一は仕事を終えてから、ブースの責任者の進藤に最新式のVRを試してみないかと誘われ、ヘッドセットをつけてブースの個室に入ったのだ。 (なんて妄想だ。俺はどうかしてる)  剣一は僅かに顔を赤らめなが個室から出た。  コードを巻き取りながら、進藤が笑いかけてくる。 「随分とエッチな妄想に浸っていたみたいだな。まあ誰も残っていなかったからそっとしていたけれど、誰かがいたら大変だったぞ」  剣一はハッとした。進藤の声には聞き覚えがあった。  そう、剣一がVRで妄想にふけっていた時に、剣一の尻をグチャグチャに犯した男は進藤だったのだ。 「どうだ、このあと暇なら飯でも付き合わないか?」  進藤が剣一を誘った。 「ええ、ぜひ」

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