123 / 250
続 1 : 15 *
文一郎の内側が、僕をキツく締め付けてくる。一ヶ月も間があったのだから、このキツさは当然だろう。
「文一郎、大丈夫?」
「ん、っ。……ちゃ、んと。ちゃんと、いい、です……っ」
「ほんと? それなら、良かった」
もう少し、激しく動いてもいいかな。文一郎の様子を窺いつつ、少しずつ動きに変化をつけていく。
「あっ、ん、ん。ふ、あ……っ」
控えめな喘ぎ声が、動きに合わせて少しずつ高くなっている。……どうやら、この緩急も嫌じゃないみたいだね。
僕のペニスを強く締め付けているのは、当然、無意識。そして僕の背にしがみつく手の力も、当然、無意識だろう。文一郎が気にしているのは、いかに声を抑えるか。……それだけだから。
「や、だ……っ。章二さ、これ、恥ずかしい……っ」
「そうだね。声、ダイレクトに届いて凄く嬉しいよ」
「俺と、意見が噛み合って、ない……っ」
「そうかな? これ以上ないほど合致していると思うけど」
浅いところまで、ペニスを引き抜く。
それから、一気に……。
「だって文一郎、恥ずかしいとますます感じるでしょ?」
「ひあ、ッ!」
奥を、突く。
堪らず文一郎は、らしくもない大きな声を出した。慌てて首を横に振り、まるで『今のは忘れてください』とアピールするほど不覚だったのだろう。
「可愛いよ、文一郎。それに、恥ずかしがる君はなかなか見られないから、凄く嬉しい」
「んっ、ん、っ」
「文一郎は? 久し振りに僕とセックスできて、どう? ……嬉しい?」
なんて訊いてみたけど、たぶん無視をされるか素っ気ない言葉を返されるかの二択だろうなぁ。
まぁ、でも。こうしてしがみついてくれている文一郎だけでも、僕としてはおつりがくるほど凄くハッピーで──。
「──うれ、しい。俺もずっと、シたかった……っ」
──なん、だと。
危うく動きを止めかけた僕は、少しだけ距離を離して文一郎を見た。
「だけど文一郎は、僕が誘ってもいつも嫌がっていたじゃない」
「だって、分かんなかったから……っ。章二さんの誘いが、冗談なのか本気なのか……分から、なくて。だから、いつも通りに……っ」
……なん、だと。ヤッパリ、これが【日頃の行い】ってやつらしい。猛省だ、猛省。
だけど、僕は付き合ってからは冗談で誘ったことはないのだけど。……たぶんそう言ったら、睨まれるんだろうなぁ。
「じゃあ、二人きりのとき。そのときの誘いは、本気。そう、覚えていてほしいな」
いつだって本気だけど、仕方ない。これは僕にとっての罰だと、重々しく受け止めよう。
文一郎は僕にしがみついたまま、コクリと一度だけ頷く。
「ん。分かり、ました。善処、します……っ」
「ありがとう。だから好きだよ」
「意味が分か──んっ」
キスをすると、すぐに文一郎は応じてくれた。
唇を重ねたまま、僕は何度も文一郎の内側を穿つ。そうすると次第に、塞いだ文一郎の口から吐息が漏れ始めて。
「んっ、ふ、ッ。……もっ、や、だめ、むり……ッ」
唇を離すと、そんな可愛いことを言われてしまった。
……正直、僕もそろそろ、無理かも。とは、わざわざ言わずに。
「ギリギリで、外に出すね。だから、もうちょっとだけこのまま……」
「はっ、あっ、あ……ッ!」
「文一郎……ッ」
「章二さん、章二、さ……ぁ、あ、ッ!」
……と、そんな感じで。
一ヶ月ぶりのセックスは、お互いに満足のいく結果となったわけでした。
ともだちにシェアしよう!