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プロローグ
小さい頃、とある事件に巻き込まれた。
その事件の真相を聞いて、俺はもしかしたら自分が普通に生きていてはいけない人間かもしれないのだと思った。
だから、いつも目立たないように、でも誰かの役には立てるように、中学でも高校でも日陰の人生を生きてきた。
でも、大学に入って初めて恋をしてしまった。
その人は明るく爽やかで、俺がどこにいてもあっさりと見つけて名を呼んで微笑んでくれる。
一緒にいると自分もそちら側の人間なのかもしれないと錯覚してしまうような、おひさまみたいに眩しい人だ。
そして、ある日どうしてかその人が俺のことを好きだと言った。
だめだと分かっていた。
分かっていたのに、俺は耐えきれずそれを受け入れた。
“俺も好きだ”、と、この世で一番言ってはいけない一言とともに。
いつまでも消えない罪だ。
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