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第1話

 自動販売機に手を入れた瞬間だった。 「あ。雨…降ってきた…」  ポツリと半袖の肌に当たったのは、雨の滴だった。  見上げれば何時の間に現れたのか入道雲が空を覆っていた。  暑い暑いと過ごしていたのも束の間だった。   「傘、持ってないや」  見上げた空から、ポツリポツリと降り出した雨が頬に当たり始まる。  渉は頬を濡らす汗と雨を拭って、校舎の方へ歩きだす。  まだ、本降りにはもう少し時間がかかりそうだった。  どうしても、習慣になってしまった癖は抜けてくれないらしい。

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