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能ある鷹は爪を隠すという嘘
※瑠璃川水鷹視点。
オレは悪くないという自己弁護から始めさせてもらいたい。
藤高がキライなことは死んでもやらないという頑固者なのは長年の親友生活でいやってほど知っている。
だから、藤高から許可をもらうとオレのテンションは跳ね上がる。
空も飛べそうな気がする。
汚れたタオルを床に放置すると怒られるので洗濯機に放り込みに行き、コンドームとローションもダンボールで寝室に持っていくことにした。
藤高はキライな匂いや感触にすごくテンションを下げるので予備はあればあるだけいい。
複数の候補があれば許してくれるけれど何もなければ今日は終わりとかになりかねない。
寝室にダンボールごとローションを持ってくるオレにドン引きする藤高。
オレの心は傷つきやすいガラスで出来ているので気持ちを奮い立たせるために赤マムシのドリンクを二本飲む。
その前にもサプリメントとかいろいろ精力剤系を飲みまくっているのできっと大丈夫だ。
オレが藤高宛だった精力剤を口にするのは漢方ギライの藤高のためだけじゃない。
めちゃくちゃ早漏になってしまったからだ。
今まで人よりは遅いぐらいだと思ってた。
それなのに気を抜いたらどぴゅどぴゅですよ。
あれもそれも藤高がエロいからだ。藤高がエロいからいけない。
退屈そうで何も感じていませんって顔するのに一緒にアイスを食べると楽しそうにしてくれて嬉しい。
しかも藤高はエロい雰囲気とかより楽しい雰囲気のほうが感度が上がる。つまりエロさが増す。
オレがあたふたすればするほど藤高が人を食ったようなエロい笑みを浮かべてさらにオレが慌てて藤高が笑う。
エロさが増し増しになる藤高に対抗するためにマムシやすっぽんやマカや得体のしれないものに頼るのは間違ってない。
バカにされても男には守らなければならないものがある。
早漏脱出をオレは今日にかけていた。
そして、指が震えまくりながらもいくつかの中から藤高が許可してくれたローションを手に初夜を迎えようとしていた。
これが初夜だとオレは思う。
今日の日のための前座が長かった。
オレは今日に賭けていた。
藤高がこれ以上になくナチュラルにオレとセックスしていいと思っているなんて早々ない。
この一カ月の「なに、おまえゲイなの?」という突き放したような冷たい視線がほとんどなくて「仕方ねーな、さっさと来いよ」という空気になっている。
指輪が邪魔だったとよくわかる。藤高のけっこうわかりやすい。
オレの前のめりな態度を笑う藤高はやっぱりエロくて顔を見ない方が緊張しないと後ろからすることになった。
四つん這いになってもらったもののすぐに挿入できないオレに藤高は枕を抱き込んであくびをする。
枕になりたいと思いながら挿入しようと頑張るものの不発。
むしろ、藤高の尻にこすり付ける形で暴発。
うまく入れられないなんて焦った童貞みたいだと落ち込むオレに仕方がないと藤高が体位の変更を提案してくれた。
まさかの騎乗位に天にも昇れる気になった。
初挿入が藤高完全主導とか最高すぎる。
オレに動かないでいいと言う藤高の男前さに惚れ直さないわけがない。
下から見る藤高はいっぱいいっぱいになっているオレを笑っていた。
これはオレにだけ見せてくれる顔だ。「バカじゃねえの」と呆れと親愛が滲んだ声が聞こえてきそうな表情が好き。
細すぎない体もふてぶてしい性格も端整な顔立ちも全部好き。
そして、オレのモノが藤高に入っていく姿を見ながらオレは天に昇った。
挿入した瞬間に暴発という憂き目を避けるために腹部に力を入れたら口から赤い液体を吐き出すことになった。
嘘だと思いたいがオレは死んだ。
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死んでしまうとは なさけない!
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