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第1話 姉が出掛けたので女装○○します

ある連休初日の午後、スーツケースを手にした姉が僕に向かって言った。 「じゃあ行ってくるね。戸締りと火の元だけはちゃんとしてよ?」 「わかってるよ、もう子供じゃないんだから」 「何言ってんの?高校生は子供でしょ」 「はいはい、じゃあね」 僕は玄関まで見送りに出て姉に手を振る。 すると姉は疑わしそうに僕を振り返った。 「(かえで)……本当に一人にして大丈夫?」 「(こずえ)姉ちゃん過保護すぎ!もう来年大学生だよ僕」 「わかってるけど、あんたっていつもボケっとしてるし……ぱっと見がソレだから心配なのよ」 それってなんだよ。確かに男らしいタイプじゃないけどさ。 腹が立つことに18歳になった今でも姉と歩いてると姉妹だと勘違いされる事がある。別に髪の毛伸ばしてる訳でもない、普通のマッシュショートなのにだよ? これでも牛乳飲みまくってやっと身長は163cmまで伸びたんだ。姉ちゃんより1cmデカいんだからな! そんな僕に姉は更に言う。 「知らない人についてっちゃだめよ?」 「んなことしないよ!」 ーー子どもかっ! 「知ってる人が来ても私が帰るまではドア開けちゃダメよ」 ーー童話かっ! 「わかってるって」 姉はため息をつきつつ友達との旅行に出掛けて行った。 まあ、子供の時お菓子に釣られて知らないおじさんについて行きそうになったのをギリギリのところで姉ちゃんに助けられた事何回もあったからな……。 そのせいか9歳年上の姉は昔から女顔な僕が心配ってわけ。 今僕と姉は二人で暮らしている。僕が実家から離れた高校に通うことになり、一人暮らしか下宿生活を希望した。するとそれまで実家暮らしをしていた姉が、わざわざ会社から遠くなるのに僕の高校の近くに部屋を借りたのだ。 それで僕は一緒に住まわせて貰ってる。 「やっと一人になれたー!」 心配性の姉は、彼氏がいるみたいなのに毎晩外泊もせずにどんなに遅くなっても必ず帰ってくる。なので一緒に住むようになってから僕が一人で過ごせたことはこの3年間でも数えるほどしかなかった。 親が僕の分として多少家賃を補助しているものの、そんな立派な部屋に住めるわけではない。一応僕個人の部屋は与えられてるけど、引き戸で隣はリビングという配置なのでほぼプライバシーなんて無い。 つまり、普段は思い切りオナニーも出来ないってこと。 「あー、この日のため二週間オナ禁したからな。好きなだけやるもんね」 僕は早速姉に見つからないように隠しておいたアイテムを引き出しの奥の箱の中から引っ張り出した。 それはごく薄く、透ける素材で出来たランジェリーだった。ショーツ、ブラジャー、ベビードールの3点セットで、色はピンク。フリルやリボンが付いててどこからどう見ても可愛くてエッチだ。 「やば……見てるだけで勃ってきた」 ちなみに彼女の物とかではない。自分でネットで買って、昼間の時間帯指定で姉に受け取られないように細心の注意を払った。 僕は着ていた服を全て脱ぎ、恐る恐るその下着を身につけていく。 普段自分が着ている下着と全然違う、軽くてツルッとして柔らかい触感がたまらない。 「はぁ……っ」 ショーツは布が少なく、履いてもうまく収まらなくてどうしてもはみ出る。 「くぅ、エロ……」 見慣れてるはずの自分の身体なのに、女物の下着を着けるだけで何でこんなにエロいの? 考えた人天才だな……。

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