4 / 11

第4話 お仕置き?

「さて、と。手も洗ったことだし、早速始めようか」 「は、始める……何を?」 勝手に何言ってるんだこの人。 「いやーそれはさ、お姉ちゃんのいない間にお姉ちゃんの下着でオナニーしちゃう悪い男子高校生のお仕置き?」 「は……?」 お姉ちゃんの……? 「あ、ち、ちがう! 違うよ! これ、姉ちゃんのじゃない! 僕が自分で買ったの!」 僕は全力で否定した。しかし市川は疑わしげな目を向けてくる。 「ええ〜そうなの? 苦しい言い訳に聞こえるなぁ」 「本当です! 姉ちゃんの下着でオナニーなんてする訳ないだろ! 気持ち悪い」 僕が必死で言い募っても彼は半笑いで見下ろすだけだ。 「そうかなぁ。背徳感っての? お姉ちゃんのおま○こ想像して気持ちよくなってたんじゃないの?」 「してない! してません!」 僕はあんまりな言い方に焦って必死で否定した。 「ふーん、じゃあ純粋に女の子になりたいんだ?」 「へっ? ち、ちがいます!」 別に女になりたいわけじゃない。 「え、それも違うの? じゃあやっぱり、お姉ちゃんそっくりの女装姿を鏡で見ながらひとりエッチするってことは……」 「違います! もう、なんて言ったらわかってくれるの!?」 「でも、女の子になってる自分に興奮してたよね?」 「そっ……それは……」 僕が即座に否定できずにいると市川は更に追求してきた。 「興味があるんじゃないの? 自分が女の子として可愛がられたらどうなっちゃうのか」 「はい?」 可愛がられるってどういう意味? 「俺が楓を女の子にしてやろうか」 「い、嫌です……」 何言ってるんだよこの人。さっきから意味がわからないよ。ただちょっとした興味でエッチな下着の実物を手にしてみたくなっただけだ。男ならわかるよね!? 「ふーん、じゃあ君が女の子のエッチな下着でオナニーしてる変態だってお姉ちゃんに言っちゃおうかな」 「えっ!?」 「だってこの下着、お姉ちゃんのじゃないんだろ? なら別にいいよね」 ――いいわけない! 僕は立ったまま僕を見下ろす市川の手に縋りついた。おかげでまるで彼に跪いてるみたいになってしまう。 「ダメです! お願い絶対に誰にも言わないで」 「えー?なんで?」 僕はぶるぶると首を横に振りながら言う。 「だって、こんな恥ずかしいことしてたのが姉にバレたら僕死んじゃいます」 「そうなの? そんな、バレたら恥ずかしくて死ぬような悪いことをしてしまったんだ?」 市川は整った顔から表情を無くし、冷たい目で僕を見た。その冷ややかさに僕は背筋が寒くなった。怖くて何かに(すが)りたくなり、つい彼の手をギュッと握りしめてしまう。 「……はい。そうです……ごめんなさい。謝ります。気持ち悪くてとても恥ずかしいことをしてしまいました。ごめんなさい!」 きちんと謝ったら、間違いを認めたら許してくれるかもしれない。彼は教員だったんだし……生徒を見捨てたりしないよね? 僕は震えながら手を離し、必死で床に額を擦り付けた。 「ははっ、そんな土下座なんてしないでよ。可愛い楓ちゃん」 彼はしゃがみ込んで僕の顔を上げさせた。 「許してくれますか……?」 「ごめんね、そんな悪い子にはお仕置きをしないと」 「え、嘘……お願いやめて! お姉ちゃんには言わないで。お願い!」 僕は無我夢中で彼に縋り付く。そんな僕を彼は優しく抱きしめ背中を撫でさすりながら言う。 「ああ……こんなに怯えて。誰も助けてくれなくて可哀想な楓ちゃん。大丈夫だよ、お姉ちゃんには言わないであげる」 「ほんと? ありがとう先生」 「その代わり、俺が2人きりで秘密のお仕置きをしてあげようね」 「え? な……なにそれ?」

ともだちにシェアしよう!