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第3話 変態が意味のわからないことを言っているこわい

その男――科学教師の市川は僕の学校にいた時は眼鏡をかけていて、地味なスーツ姿の目立たない教員の一人だった。 一方今の彼はというと、眼鏡を外したお陰ですっきりと整った顔立ちが現れ、服装もシンプルだけどおしゃれで以前とは別人のようだった。パーマのかかった髪型がスタイリッシュなイケメンだが、しかしそんなことは問題ではない。 「ああ、それにしてもまさか楓ちゃんの女装オナニーを生で見られるなんて……しかも今イッてたよね? 歴史的瞬間に立ち会えたって感じで震える~!」 実際に、市川はブルブル震えながら僕を見ていた。 ――こわいこわいこわいこわい……! 「な、なんで先生がここにいるの……?」 しかも学校でもほとんど話したことなかったのになぜか僕の下の名前知ってるし。 「ああ、お姉ちゃん今日から旅行でしょう? 俺、君が部屋に1人でお留守番なんて物騒だから見守りに来たんだよ」 え? いや、あんたみたいなのが一番危険じゃん……。 「でも、鍵かけてたのに!」 「鍵はお姉ちゃんから借りたんだよ~。君が1人で残るの心配だから様子見に行ってやってくれって言われたんだ」 「え?! 何それ僕聞いてないんだけど……」 なんで姉ちゃんそんなこと勝手に決めちゃうんだよ! お陰でとんでもない恥をかいたじゃないか。僕は悔しくて涙が滲んできそうになった。 きっとこの人、僕が女装癖の変態だって思ったよ。もうおしまいだ……。 「とにかくもう俺が来たから安心して。誰にも邪魔されずに女装オナニーを存分に楽しんで!」 「は……?」 そいつは僕の精液に濡れたショーツに手を伸ばし、さわさわと撫でてきた。 僕は油断していていきなり敏感な部分を触られてついうめき声をあげてしまった。 「っは……! んぅう……」 「あああ♡ たまんねぇえその反応いいねいいね! 可愛いよ楓ちゃん。くぅううう」 え? きもい――なんなのこの人? 自分の彼女の弟が女装してオナってるところ見たのに引かないの? ていうかむしろ興奮してる……? 変態なの……? ちゃんと戸締まりしたのに変な人来ちゃったよ。しかも誰も助けには来ない――。 僕は絶望で身体が冷たくなるのを感じた。 「どうしたの楓? そんな震えて、寒い? 怯えてる? いきなり大人の男が現れて怖くなっちゃったかな。ごめんね、怖くないよ。俺は危害は絶対加えないし変なことする気無いから。ただ君のことを気持ちよくしたいだけなんだ」 そう言うと市川は僕のショーツを下ろした。ぬちゃっと粘液が糸を引く。 「ひぃっ!」 「あはぁ~~~♡ か、かわいい! 本物の男の()ちんぽかわいい! ああ、だめだこれ。いただきます!」 「え? え、やだ……!」 彼はそのまま僕の精液まみれのべとべとなペニスを思い切り頬張った。ひとしきりモゴモゴと味わった後、口を離して言う。 「ん~~!! 青臭いこのエッチな匂いたまんない♡ ああ、濃いの出てるねぇ。オナ禁してたんだもんね」 「え? なんでそれっ……!」 「なんでも知ってる。なんでも知ってるよ、当たり前だろ。ハムッ! んん……うま」 怖い……! なんなの? どういうこと?? 恐怖のあまり涙で視界がぐにゃぐにゃになってよくわかんなくなってきた。どうしよう……。 「あっ! ごめんごめん。外から入ってきたのに手も洗ってなかったね。ちょっと手を洗ってくる」 「は……?」 市川は部屋を出てまっすぐにバスルームへ向かった。初めて来たにしては慣れすぎている。 僕は訳がわからずしばし呆然としていたが、ハッと気付いた。 「で、電話! 警察に……っ」 急いでスマホを手にしたが、なぜか電波がない。圏外になってる……? 「なんで?!」 早くしないとあいつが戻って来ちゃう。外へ逃げるか!? でもこの姿のままじゃ外に出られない。とにかく何か服を――いやでも着替えてたら手を洗い終えてあいつが……ていうかなんで、なんで圏外? 僕がスマホをイライラとタップしていると市川が戻って来た。 「ん? どうしたの。助けを呼ぼうとしても無駄だよ」 「あっ、な……なん……」 くそっ! 逃げそびれた。 市川は僕が手にしているスマホを見て言う。 「スマホ、使えないだろ? 俺が圏外にしておいたから」 そして彼は見慣れない手のひらサイズの黒い機械をかざして見せてきた。 「なな、なにそれ……」 「んー?電波防止機」 「え?」 電波防止……? あ、だから圏外になってるのか……! 「安心して。誰も楓のオナニーを邪魔したりしないから」 「き、気持ち悪いこと言わないで下さい! 先生なんでしょ? こんな事してただで済むと思ってるんですか?」 「あはは、あー大丈夫大丈夫。俺もう教師やめたから」 市川は余裕の笑みを見せる。 「え、そうなの?」 「今はお姉ちゃんと同じ会社で働いてる同僚なんだ」 そうだったんだ。でも姉ちゃんそんな事一言も教えてくれなかったのに。 こんな変な人となんで付き合ってるの!? それとも、こんな変な奴だから僕に紹介もしてくれなかったんだろうか。

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