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自分の気持ち 2
事件を解決できないことへの焦りや不安で押しつぶされそうな気持ちを、沖の持つ雰囲気が郷田の焦りを和らいでくれる。
「沖さん……」
胸がぎゅっとする。時折、沖といるとおきる症状だ。
頼りにされたいと思うのに、結局、自分は甘えるばかりでなにも返せてない。
朝から美味しい食事を食わせてもらい、頑張ってねと笑顔を貰う。
「班長、お疲れ様です」
「なんだ、お前、やけに機嫌がいいな」
顔に出ていただろうか。表情を引き締めるように頬を叩く。
「いっつも怖ぇ顔してるお前がさ、そういう顔を見せてくれると安心するわ」
「班長……」
「大切にしろよ」
トンと胸を叩き、西久保が傍を離れる。
「郷田、行くぞ」
佐木が呼ぶ声が聞こえ、そちらへと向かう。
西久保と共に署に泊まった佐木は少し疲れが見える。
「お、今日は良い顔だな。なんだ、してもらったのか?」
ニヤニヤと口元を手で押さえる。
「はい。口で」
素直に口にしてしまい、佐木はマジかと食らいついてくる。
「どんな子なんだ、その相手って。前に話していた店の人だろ?」
「はい。とても優しくて、癒されます」
癒し系かと、羨ましそうに言われる。
「ですが、友人相手に性欲処理までしてくれるものなんでしょうか」
友達という言葉に、嘘だろうと呟き、
「お前はさ、その時どう思ったんだよ」
と逆に聞かれる。
「それ以上のことを望みそうになりました」
沖の肌を見た時に、感じたことを素直に口にする。
「それは欲に煽られてか?」
「それもありますが、もっと相手の色っぽい姿を見たいと思いました」
あそこで理性が働かなければ、きっと彼を抱いていただろう。
「どうしてそう思ったんだろうな」
「え?」
沖のことをどう思っているのだろうか、自分は。
「相手の気持ちを知りたければ、自分の気持ちを伝えるんだな」
「俺の、気持ちを……」
友達として好きなだけならば、してほしいと望んだだろうか。
いや、無理だろう。それが答えではないだろうか。
「そうだ。答えが出ているのなら、男のお前がびしっと彼女に伝えろや」
「はい。あ、ちなみに相手も男です」
「はぁ!?」
相当驚いたようで、口をあんぐりと開く佐木に、郷田は笑みを浮かべた。
それから数日後。事件は無事解決し、郷田は沖宛にメールで会いたいという旨を告げた。
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