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第34話
「此度手引きした四名の者は己の望みし刑にて死罪とする。一族の罪は問わぬ。光天教、三位までの高僧は罪三戒の烙印の上、三年入牢その後身分を平に落とす。以外の信者は十日入牢の後解放とする」
罪三戒の烙印とは、再び罪を犯せば即死罪とする印を身に押す重き刑である。苦き判ではあるが最初の我の罪と後の甘きが金華と世継ぎの命を危険に晒し良き民を弑したのだ。強きを示し、ここで因果を断たねばならぬ。
「教会内外の荒れた地はならして整し光天教の寺院は民のための学びの場に改す。中に残る教義、神体等は全て火に焚べよ」
亜藍は黙って頷いておるが言いたきことはわかっておる。
「……心配をかけてすまぬな」
「我にそのようなお気遣いは無用でございます」
「こたびのことは偶で起きた天災である。そのように立ち振る舞え。またあの老婆を国葬とし主宰は金の楼主とする。家族には十分な褒賞を与えよ」
「は!」
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大泣きしたのであろう。王子達は顔を真っ赤にして金華の膝で眠っておった。金華は我に気づくとそっと二人を寝所に寝かせこちらに向い地に伏した。
「この度の勝手な振る舞いを心よりお詫び致します。この身いかようにもご処分くださいませ」
「全ての因は我にある。そなたは命を持って誉高を守うた。子等の父として礼を言う」
あの折、誉高より耳にした金華の姿。その術 に己の退路はなく死を持って誉高を救い出すのみの手管であった。もはや生きて会うこと叶わぬかも知れぬと昏く心塞がれた。
「そなたの罪は問わぬ。しかし謁見はしばし休むがよい」
「そのような軽い御処分では示しが付きませぬ」
己のこととなると、なんと頭の固い楼主様であることか。
「そなたが童達を使い、門兵をまやかし、ここより逃げたとあらばその者等に重き罰を下さねばならぬ」
揶揄すると金華の顔色が変わる。
「……どうぞ……それだけは」
「そなたは我の言葉を守り、ここにずっとおったであろう……」
「……はい。左様にございまする」
腑に落ちぬ様子の金華の腕を取り立ち上がらせ抱きしめる。今一度その身が暖かいことを確かめると心より安堵し息がつく思いがする。真、生きた心地がせぬであったとはこのような事である。
「随分短うしたの」
あの美しく長い金糸の髪が今では顎ほどまでの長さしかあらぬ。
「みっとものう姿で……お恥ずかしゅうございます」
「怪我はなきか?」
「はい」
「ならば付き合うてもらおうかの」
そのままその軽い身を抱き上げた。
「何を?」
「ここは王子達がおるゆえ、そなたの屋敷に行く」
金華は驚いた顔をすると我の胸に縋りつき、その桜色の面を隠した。
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