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第4話~築島課長~

「山本君。そこの資料、広報室に運んでくれるかな」 「すみません。後で必ずやるので」  足早に立ち去ろうとする俺を築島課長が呼び止める。 「昼休みはとっくに終わってるよ」 「でも、ごめんなさい。どうしても真藤先輩に」  あぁ、郁実さん絡みか……と、築島課長が小さく溜め息をついた。 「郁美さんなら第三会議室だよ」 「会議中ですか」 「警察の人が来ていたから内密の話があるんじゃないかな。我が社の将来を背負って立つ人だから良くない事に巻き込まれてなきゃいいんだけど」 「どういう事ですか」  不穏な予感を感じて息を飲んだ。 「知らないのかい。郁実さんは我が社の後継者だよ。だが一枚岩じゃないからね。何かと難癖をつけて追い落とそうとする勢力が……あっ、山本君!」  俺に何ができるのか分からない。  行った所で何の役にも立たないかも知れない。  でも!  何もできなくたって駆けつけない理由にはならない。  先輩がΩの俺を支えてくれたみたいに。  あの時みたいに。  今度は俺が助けたい。  何もできなくても先輩のそばにいたい。  バタバタバタッ  エレベーターなんか待ってられない。  階段を駆け上がる。5階はもうすぐだ。 「先輩!」  ガタンッ  第三会議室のドアを開けた。 「警察の人、先輩は何も悪くないです。怖いけど本当は優しくて、俺の気持ちを初めて包んでくれた人です。かけがえのない人なんです!だから連れてかないで下さい!身の潔白は俺が証明してみせます」

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