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【番外編】スプラッター映画と謎の液体ソープ

「新しい映画のDVD買ったんで一緒に観たい!」  休日は宇佐見さんちにお邪魔することが多いんだけど、今日は久しぶりにオレんちでゆっくり映画を観ることになった。宇佐見さんとこに比べるとかなり狭いけど、そこはそれ、くっついていれば問題無しってワケだ。  晩ごはんはカレーを用意した。昨日のうちに作っておいたから、一晩経って美味しくなってるハズ。ただし辛くは無い。ニガテなのだ。オレの作るカレーはコクで勝負だ。  まだ午後の早い時間だけど休日だしいっか……ってことで、缶ビールを開けた。つまみは煎餅とポテチ。たっぷりとゴマが入った煎餅はオレの大好物だ。 「どんな映画なんだ?」 「うーん……、殺人鬼の話。スプラッター?」  映画開始から約1時間後 「(スグル)……、おまえすごいな」 「ん?」  映画が始まってからずっとオレの口は忙しかった。ビールが終了した後はジュースにした。今は煎餅も無くなってポテチに手を出してるところだ。 「スプラッター映画だぜ。血がドバっと出たり、内臓漏れたり飛び出したり。そんな映画観ながらよく食えるなぁ」 「ん――そう言えばさっきのすごかったスね。腹に手突っ込んで腸とか引っ張り出してたし」  そう言いながらもオレはポテチをバリバリやっていた。 「ダメだ……。ちょっとトイレ。そのまま観てていいぞ」  どうやら宇佐見さんはスプラッターものはニガテらしい。へぇ~。  結局宇佐見さんは、映画が終わるまで戻ってはこなかった。  トイレからは出てたらしいけど、映画が見える範囲に近づかなかったってのが正解か。「よくあんなもん観るよな」とかブツブツ言ってたような気がする。オレからするとホラーの方がよっぽどだと思うんだけどな。ま、ひとそれぞれってことか。  意地悪すると反撃が怖いので、今後宇佐見さんと見る映画のジャンルからスプラッターは除外しておこうと思う。 「なあ優……」  映画が終わって、テーブルの上をキレイにしてるとき宇佐見さんが話しかけてきた。  笑っている……。にっこりじゃなく、ニヤニヤした笑い。なんかヤバそう……。もしかして、宇佐見さんが気持ち悪くなったときに映画を止めなかったのがマズかったか? 「トイレ行ったらさ、便器のウラからこんなモノ見つけちゃったんだよな。液体ソープ。……へぇ~、桃の香りだって」  マズイッ! まさかソレが見つかるとは!  別に隠すほどのモノじゃないけど、でもやっぱ、超恥ずかしい……。 「トイレの後に、手ぇ洗おうとしたワケ?」 「そ、そうっ。でもやっぱ洗面所で洗った方がちゃんと洗えるから、それは置きっぱなしで全然使ってないヤツ」 「ふぅん、そのワリには量減ってるしノズルんとこ乾いてないよなぁ」 「なっ、なに?」 「ここのウォシュレットってさぁ、優が自分で付けたんじゃなかったっけ?」 「そう……だけど?」  ヤバイ、絶対ヤバイ! 危険度で行ったらMAXのその上だ。ありゃ絶対分かってて言ってる。 「そっか~、優のケツからは桃の香りがするってことかぁ」  ジリジリと近寄ってくる宇佐見さん。オレの部屋は狭い。この危機を脱出するには、素早い動きで向こうへ行かなくては。  結局宇佐見さんに捕まってしまった。敗因は部屋の狭さ。うぅっ。 「実は俺、桃って好きなんだよな。優の美味そうな桃尻から、美味そうな桃の匂いがするってワケだ。大好物を目の前にして食べないワケ……ないよな?」 「ううう宇佐見さん、な、なんてこと言ってるんスか!」  結局オレは宇佐見さんに美味しくいただかれてしまった。  桃の匂いがしたかって?  知らん!  晩ごはんを食べたのは日付が変わった頃だった.……とだけ記しておく。

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