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黒猫救出

いつもの帰り道なのに 大雨のせいで俺の足取りは重たかった。 「うゎっ」 持ってた傘が引っ張られる。 …風まで吹いてきやがったし。 早く帰ってシャワーして ゲームしてー… そんな事を考えながら ぱしゃぱしゃと水の張った道路を 歩いていると ザブッザブッ 異常な泥水の量を波立たせながら 流れていく川が目に入った。 …え、この川って結構綺麗で ゆっくり流れてるいつものあの川!!? うそだろ。どんだけ今日すげーの。。 俺は「あーぁ。」って感じで 川を眺めながら帰ってると 「……え?…あれって??」 泥水の中でも目立つ黒い塊が 川の岸で何かにつまっていた。 なんだろ??袋?? でもなんだかただものじゃない 雰囲気を感じて 俺は少し気になって岸の方に 向かって歩いていくと ある事に気がついて 立ち止まった。 「え!!!?猫!!!?」 真っ黒い黒猫が今にも また川に流されそうになっている。 猫自身はもう力なく状況に身を任せていて ピクリともしていない。 「おいっ…!!!」 俺は黒猫に向かって叫んで 鞄と傘をその辺に放り投げる。 すぐに駆け寄って泥水の異常なスピードの 中、手を突っ込み黒猫を掴んで ぱしゃんっっ すぐに抱き上げた。 黒猫はだらりと手足を下ろしていて 首と尻尾も下を向いている。 ビショビショの毛の冷たい猫に 俺の指はゾクッと震えた。 「死ぬなよ、お前。」 俺はまず生きてるかも分からない黒猫に 呼びかけると着ているワイシャツの胸の中に 猫を突っ込んで抱いたまま 鞄と傘を持ってまた走り出した。 この子を助けなきゃ

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