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お出かけ途中

ゆらに半ズボンを履かして 俺とゆらは家を出た。 「蓮ー、どこいくのー?」 「ゆらの服とか必要なものを 買いに行くよー」 部屋の鍵をガチャンと閉めて 俺はゆらに微笑む。 ゆらは目を輝かせた。 「俺、蓮とおそろいが欲しい!」 「え!?おそろ!?」 男同士でおそろいはさすがにちょっと… 「蓮はやだなの??」 「その顔やめてぇぇ…可愛すぎる〜」 ただでさえ整ってて綺麗な顔をしてるゆらが 悲しそうに見つめてきたら男の俺でも ドキドキしてしまう。 この子の言うことは何でも聞いてしまいそうでそんな自分がちょっと怖い。 「俺もしてみたい…かも。」 「やったー!決まり!」 ゆらは喜んで俺と手を繋いで歩き始めた。 周りから見ると同い年くらいの男の子が ただ手を繋いでるようにしか見えない。 でも、この子は猫だから特別だから この男同士の手つなぎも特別なんだ。 俺は男同士で手を繋ぐことを ゆらが猫だということで特に 違和感を感じなかった。 俺はゆらの手を握り返すと ゆらは俺に微笑んむ。 そんなゆらに見惚れながら 道路のある歩道に出ると ブォォンー… 「ぎゃあっっ!!!!!!」 横の道路を走る軽自動車にゆらが突然 後ろに飛び返ってしゃがみこみ震えた。 俺はただの車に身を震わすゆらを 心配になって駆け寄って背中をさする。 「ゆら、大丈夫??ただの車だよ。 ちゃんと注意しとけば大丈夫だよ。」 ただコクコクと青ざめた顔で頷き 震えを抑えようと自身の肩を抱く ゆらに俺は冷や汗をかいた。 猫がこんなに車を 恐れる生き物だったなんて… 知らなかった。 とりあえず一旦ゆらを部屋に 連れ帰って温かいお茶を差し出す。 まだ震えが止まらないゆらは 俺からお茶を受け取っても呆然と 一点を見つめてるだけだった。 「ゆら…とりあえず今日は家にいよ? 猫がそんなに車が怖かったなんて… 知らなくてごめんね。」 俺の声にやっと我に返って 首をフルフル横に振りはじめるゆら。 そして俺をじっと見つめた 「じ…実は…俺、、」 「ん??」 悲しそうなゆらがそのあとまた 言葉を続けようと口を開いたが 閉じてしまった。 代わりに俺への謝罪のために 閉じられた口をまた開く。 「ごめんなさい。せっかくのお出かけを… まだ家を出て数分だったのに…」 明らかにガックシと肩を落とすゆらに 俺は優しい声で答えた。 「それは全然気にしないで! まだ人間になったばかりなのに 外に連れ出そうとした俺がいけなかった」 「蓮は悪くない!! だからあやまらないで。」 よくわからない空気に俺は息を吐いて ゆらを抱きしめる。 「また出かける気になったら 言ってね。」 ゆらも俺を震えが収まり始めた腕で 抱き締め返してくれた。 「ありがとう、蓮。」

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