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「俺たちが教えてあげるよ。激しいセックスも気持ちいいって」
「───ッ、あぁぁッ」
一度ギリギリまで引き抜いたあと、葵の弱い箇所を狙って一気に抉り上げると共に、胸元を彩る乳首も押し潰してやると、葵からは悲鳴のような嬌声が上がった。
「ほら、ちゃんとイケたね」
全身をわななかせた葵の腹には先走りと共に白く粘り気のあるものが滴り落ちている。
「気持ちイイって言ってごらん」
「……あっ、ん……い、い」
「ね、イイよね」
まだ絶頂の余韻が残っている葵を揺さぶりながら、無理やり認めさせる台詞を吐かせる。蜂蜜色の瞳を涙で潤ませ、頬を上気させて言うことを聞く様は、美智の背筋をぞくりと震わせる。もっともっと苛めてやりたい。
でも見学に飽きた彰吾からの視線が鋭くなったことに気が付き、この遊びを切り上げなくてはいけない現実にうんざりする。
「やっぱり足りない」
仕方なく数度大きく抽挿を繰り返して達しはしたものの、不完全燃焼だ。
「明日からしばらく抱けないっていうのもね」
葵の体を明け渡しながら愚痴を溢すと、彰吾からは呆れたような視線が向けられる。だが、彼も同じはずだ。
この部屋の鍵を獲得するために、昨日は葵以外の相手を彰吾と二人で抱いた。でもこんな風に時を忘れるほど熱中もできなかったし、淡々と鍵を奪うための材料を揃えるだけの行為に終わった。
彰吾も相手の抵抗に激った様子を見せ、葵に出来ないような乱暴な拘束も積極的に楽しんではいたものの、どこかつまらなそうな顔をしていたのが印象的だった。
気まぐれに捕まえたはずのこの美しい人形が、その顔も声も肌も、あまりにも魅力的なのがいけない。彰吾さえも居ない空間で、一晩じっくりと味わい尽くしたいと、そんなことすら考えさせられるのだ。
「試験中抱けないだけならいいけどな。父親にバレるのも時間の問題だろ」
彰吾の言う通り、いくら葵の体に分かりやすく痕跡を残さなかったとて、二人で抱いていればそれなりの変化は出てくるはずだ。
葵のことを大切に育ててきた父親が、美智たちのことを許すわけもない。でも罰を受けることは別にどうでもよかった。それを恐れていたら、ハナからこんな遊びに興じるわけもない。
ただ美智が困るのは、葵との接触が断たれること。まだ遊び足りない。せっかく見つけたお気に入りの玩具を取り上げないでほしい。
彰吾に抱え上げられ、また貪られようとしている葵を見ながら、美智は人知れず溜め息を漏らした。
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