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8*

ラグに押し付けていた手首を離すと、葵はすぐに馨のシャツにしがみついてきた。拒絶するどころか、受け入れる姿勢は馨をさらに満足させる。 「よく頑張ったね、葵。愛してるよ」 「ん……んッ、あぁぁーっ」 唇も、後孔も犯しながら愛を囁き、一際強く貫くと、葵の体は大きく跳ね上がる。その衝撃で、馨も葵の中に欲を弾けさせた。 すぐに抜くことはせず、余韻を味わうように腰を揺らすと、葵はそれすらも心地よいのか、ラグの上で艶かしく身を捩る。汗ばみ、ピンクに染まった肌も、蕩けた瞳も、馨を魅了してやまない。 「あとでお風呂に入らないとね。全身優しく洗ってあげる」 葵の涙を拭いながら告げると、きゅんと馨を締め付けて応えてくる。ただ洗うだけでは済まないことなど、嫌と言うほど分かっている証拠だ。 今度こそ完全にリボンを外してやると、そこは真っ赤に染まってまだ芯を残していた。 「まだイキ足りないのかな?欲張りな子だ」 指先でツッと根元から先端へと撫で上げてやれば、それだけでまた腹にぽたりと蜜を垂らすのだからやはりお行儀良く躾ける必要を感じる。 「んっ……パパ、もぉ……」 「葵、何を言おうとしたの?」 やめてとか、無理とか。そんな台詞は許さない。思わず出かけた言葉を飲み込み、必死で首を横に振る葵が哀れだ。 乱れた服装のままの葵を抱え上げ、衣装部屋を後にし、寝室に向かう。馨を怒らせたと思い葵は怯えているようだが、単にきちんとした場所で葵をもう一度抱きたくなっただけだ。 今夜は葵を泣かせすぎた。本来、特に罰を与えるようなこともないのだから、可哀想には思っている。 ベッドの中心に葵を落とし、そして馨もその上に覆い被さる。甘やかすつもりの馨をよそに、仕置きを覚悟してまた泣き出した葵を愛しいと感じるのだから不思議だ。 葵は馨の全てを受け入れる。今も、涙の味がする唇を舐めてやると、安堵したように吐息を漏らすぐらいだ。馨に愛されることだけが、葵の存在意義。 そういえば今日はロクにキスしてやっていなかった。それが葵の不安を煽り、あんな泣き方をさせたのかもしれない。 「明日学校には行けないかもしれないね」 キスの合間に思わずそんな予言をしてしまう。一度や二度抱いただけで満足できる気がしない。 久しぶりにさせた愛らしい格好も、躾に乱れた姿も、そして馨にキスされるだけで蕩けた顔をする健気さも。馨をどうしようもなく昂らせるからだ。 葵も早く馨のところまで堕ちてくればいい。ずっと馨の腕の中で、与えられる快楽だけを享受する人形になってしまえばいい。 「愛してるよ、葵」 もう何度目かも分からない愛の言葉を捧げながら、馨は唯一無二の存在を我が物にするべくその身体を再び貫いた。

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