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「……はぁ、…んッ」
美智が葵から指を抜いてやったのは、彰吾が最後まで腰を進めてからだった。葵は新鮮な空気を取り込むように必死で呼吸を繰り返している。
「ここからは葵にはまだ難しいだろうから。続きは後にしようか」
さすがの美智もそのぐらいの分別はあったらしい。美智の指導は少なからず彰吾にもメリットがある。そう思うから協力してやっていたが、さすがにこの調子で最後まで付き合うのは限界だった。
「葵も辛そうだしね」
付け加えられた言葉と共に、ほら、と美智は葵の顔をこちらに向けてくる。己の唾液で唇を濡らした葵は静かに泣いていた。だが、その瞳には間違いなく欲情の色が灯っている。
「彰吾に犯してほしくて仕方ないって顔してる」
「あぁ、ほんとだ」
華奢な背に覆いかぶさり、近いところで表情を観察してやろうとすると、葵は恥じらうように目を伏せた。でも中がひくんと締め付けてくるのだから、彼の体が求めているものは分かりやすい。
「……あぁぁッ、ん、やっ」
中に埋め込んだものをじりじりと引き抜き、もうすぐで抜けてしまうというところで、深く奥を突き上げる。その一突きで、葵の背が激しく仰け反った。どうやら達してしまったらしい。
でもそれは彰吾を止めるどころか、本気にさせるスイッチになる。
「────ッ、………あっ、あっ……んん!」
「可愛い、イキっぱなしだね、葵」
強く肌をぶつけ、潤んだ粘膜中を擦り上げると、葵はただ喘ぐことしか出来なくなった。美智にその蕩けた顔を間近で観察されても、顔を背ける余裕すらない。
「おい、飛ぶなよ。このあとミチの相手もすんだろ?」
ぎゅっと目を瞑り体の力を抜こうとする葵の意識を呼び戻すため、ぐちゃぐちゃに濡れそぼった箇所をきつく握りこむ。
「あぁっ!あっ、あっ……や……おが、た……さ……」
父親との行為のダメージが残っている葵にとっては、もう限界なのだろう。でも掠れた声で名を呼ばれると、葵に埋めた昂りが自然と質量を増してしまう。
「なん、で……んっ、もぉ…」
「いい加減覚えろ」
何が彰吾を煽るのか。そう耳元で囁くと、葵は啜り泣きながら首を横に振った。
分からないという意味か。それとも拒絶か。彰吾には判別出来ないけれど、どちらでも構わない。
葵が何を思おうと、自分はこの存在を逃がすつもりなどなかった。
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