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Only just a little 3

「……ク、ジェイク」  いきなり肩に触れられ、ジェイクは心臓が飛び出るほど驚いた。 「サム……」 「うなされていたよ。大丈夫じゃないだろう?」 「うなされていた? 俺が……?」  無理に笑おうとしたが、背中はびっしょりと濡れていて、額からも数滴汗が流れ落ちた。 「今、何時ですか?」 「夜九時。寝るには早い時間かもしれないけれど、今の君には必要なことだ。寝れていないんだろう? 薬が必要なら一度専門医に――」 「専門医? 必要ないです。あなたが俺を家に帰してくれたら、それですべて解決ですよ」 「はっきり言うけれど、今の君には誰かのサポートが必要だ。本当はすぐにでもセラピストとの面談の日取りを決めたいところだがね、君は嫌がるだろう?」 「当然です。セラピーが必要なのは、むしろあなたのほうじゃありませんか?」 「いいや。僕らふたりともに必要だ。君はビルの件で僕が苦しんでいると思いこんでいるようだけど、それは少し違う。当然心苦しい。だが第三者から見れば一番の被害者は君だよ、ジェイク。その自覚はあるのかい?」 「俺は……」  シーツを握る手が震える。怒りなのか、恐れなのか。ただひとつわかるのは差し伸ばされたサムの手を無意識に弾いてしまったことだ。  サムは何事もなかったかのように、ゆっくりとジェイクの枕元に腰を下ろした。 「ジェイク、受け入れろとは言えない。元凶は僕だから。でも、与えられた日数分はきちんと休んでほしいし、外に出れるようになったら前向きにセラピーに通ってほしい」 「俺はいつまであなたの被害者でいなきゃならないんですか?」 「君自身が一番苦しんでいると君が自覚するまで……かな」 「俺は被害者じゃない……」 「うん。わかった。わかっているよ、ジョニーちゃん」 「……こんなときに、あなたは」 「ごめんね。これが僕という人間なんだ。おやすみ、ジェイク」  シーツを握る手に再びサムの手が重ねられる。今度は不思議と彼の手を振り払わなかった。  サムの手は見かけよりも大きく、温かかった。  ――ほんの少しだけ……。  ジェイクは枕元に座るサムの肩口に顔を寄せ、静かに泣いた。悪夢が涙と共に流れ落ちていくことを祈りながら。  END

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