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第146話

レイスと二人で玄関に向かうと、既に出迎えに来ていた使用人たちに囲まれてるディルとリオさんが居た。 家令とメイド長が代表でディルとリオさんの上着や荷物を預かってる。 他の人たちは整列してその様子を見ていた。 うわぁ、こういうシーンは漫画とかでよく見るなぁ。 実際に見られるなんて思わなかった。 そんな事を考えていると、俺たちが居ることに気付いたディルが見ていることに気付いた。 「ディル、リオさんお帰り。公務お疲れさま」 俺がそう言って出迎えると、ディルに『あぁ』と素っ気なく返される。 いつものディルとはどこか違って、俺は首を傾げた。 ディル、何かあったのかな? 「フタバさん、今日は魔法の訓練が出来なくて申し訳ありませんでした」 俺が気になってディルを見てると、横からリオさんがそう言って頭を下げてきた。 そんなリオさんに、俺は慌てた。 「そんな、仕事だから仕方ないよ!」 そう言ってパタパタと手を振ると、リオさんがクスッと笑った。 「今日はどうしてたのですか?」 部屋に向かう廊下を歩きながらリオさんがそう聞いてくる。 「レイスと一緒に町まで買い出しに行ったんだ」 「そうですか」 そう言ってリオさんが笑った。 実は、俺がこの城に来てからあまり外に出ない事をリオさんも気にしていた。 俺は城の中だけでも十分だったんだけど、どうやら心配掛けてたみたいで外に出た話をしたら、リオさんは明らかにホッとした顔をした。 ポーションの店に行った事や、果物屋、武器屋に言ってドワーフに会ったこと、武器を買った事をリオさんに話した。 その話をリオさんは笑顔で聞いてくれた。 「じゃあ今日は魔法を使ってませんね?」 そう聞かれて、思わず体が反応してしまった。 リオさんはそれを見逃してはくれなかった。 「…フタバさん?」 リオさんの声が明らかに変わる。 さっきまでと同じ笑顔なのに、俺はリオさんの顔が見れなかった。 レイスに助けを求めて見ると、レイスは俺たちから距離を取って顔を背けている。 自分だけ逃げるなんてひどい!! 「フタバさん?使ってませんよね?」 レイスに気を取られていると、そう言ってリオさんは更に迫ってくる。 「…………ごめんなさい」 俺はリオさんの迫力に負けて、魔法でナイフを操った事を話した。 俺の話を聞いて、リオさんがため息をついた。 「今回は攻撃魔法じゃないので大目に見ますが、くれぐれも気を付けて下さいね」 「……はい」 でもその後、魔法でナイフを操るのは攻撃魔法じゃない事と回りに被害が出ないことから、リオさんが居ないときでも練習をして良いと許可してくれた。

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