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第147話

「……え?国王に……?」 夕食を食べてるときに、ディルが神妙な面持ちで国王と会って欲しいと言い出した。 もしかして帰って来た時にディルの様子がいつもと違ってたのって、この事のせい? 「フタバが嫌なら断ってくれても構わない。フタバ自身が決めてくれ」 とそうディルが言う。 「………断ったとして、俺に危害は無いの?」 基本、国王の命令は絶対だ。 それを断れば、不敬罪で処刑されてもおかしくない。 「それは大丈夫だ。謁見はフタバ次第だと父にも伝えてある」 ディルたちに俺が勇者だと話した時に、いつかは来るとは思ってた。 ディルは俺の事を隠しててくれてたみたいだけど、それも時間の問題だと思ってた。 国のトップの情報収集能力は半端ないからなぁ。 俺はそんな事を考えながら、チラッとディルを見た。 ディルは相変わらず難しい顔をしている。 会うかどうかは俺が決めて良いって言ってた。 それはディルが国に関わりたくないと言った俺の事を考えてくれたって事だ。 「………王様に会っても良いよ」 俺がそう言うと、ディルが驚いた顔をする 「……良いのか?」 「うん、いつかは来るとは思ってたし」 「でも、国王と……国に関わることになるぞ?」 何か、ディルは俺に王様と会って欲しくないみたいだな。 そう思ったら、思わず笑ってしまった。 「確かに国に関わるつもりは無いけど、何とかなるかなと思って。それに、会うのはディルのお父さんだしね」 俺がそう言うと、ディルは明らかにホッとした表情をした。 「分かった、父にはこちらで知らせておく」 『謁見が決まったら知らせる』とディルは言った。 その後、聞こえるかどうかの小さい声で『ありがとう』と聞こえたけど、俺は聞かなかった事にした。

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