150 / 269

第148話

(レイスside) 「……本当に良かったのか?」 夕食を終えて部屋に戻ると、フタバにそう聞いてみた。 「王様と会うこと?」 フタバがそう言うと、俺は頷いた。 「うーん、本当は会うつもりなんて無かったんだけど、俺の事が知られちゃった以上、逆に会わない方が面倒臭い事になると思ってね。……それにディルが不安そうにしてたし」 そう言ってフタバは少し困ったように笑う。 あれだけ嫌がってたのに、国王に会うと言い出したのはディルの為…か。 「ねぇ、王様ってどんな人なの?」 「……俺も数回しか会ったことがないから、そう詳しくはないけど、凄い方だとは思う」 俺も会ったことは無いが、前国王、ディルの祖父に当たる方は、お優しい方だったと聞く。 でもその優しさゆえに、国が傾き掛けた。 王を退けようと、貴族たちが裏で手を回した。 それを事前に食い止めたのが現国王のジオルド陛下だという。 そのすぐ後、異例ではあるが前国王が生前退位を表明し、当時王太子だったジオルド陛下が国王を就任された。 ただそれは国を二つに分断するものだった。 ジオルド陛下が若すぎるという理由で国王就任を反対する者、ジオルド陛下に感銘を受けてぜひ国王にと押し上げようとする者。 両者の意見が真っ向からぶつかり合った。 それを鎮めたのもジオルド陛下だった。 その後ジオルド陛下は、治世的にも経済的にも底辺だったレオーネをここまで発展させた。 「………ディルのお父さんって凄い人なんだね」 ジオルド陛下の話をし終えると、フタバはボソッとそう呟く。 ジオルド陛下は凄い方だと思う。 でも、その分怖い方でもある。 「でも俺、大丈夫かな?」 「……何がだ?」 「ほら俺、閲覧の作法とか知らないし」 そう言ってフタバは悩む素振りをする。 「フタバの好きなようにすれば良い」 「それで大丈夫なのかな?」 とフタバは不安そうな顔をした。 「大丈夫。いざとなれば俺が居る」 そう言ってフタバの頭に手を置くと、フタバは『うん』と頷いて笑った。

ともだちにシェアしよう!