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第148話
(レイスside)
「……本当に良かったのか?」
夕食を終えて部屋に戻ると、フタバにそう聞いてみた。
「王様と会うこと?」
フタバがそう言うと、俺は頷いた。
「うーん、本当は会うつもりなんて無かったんだけど、俺の事が知られちゃった以上、逆に会わない方が面倒臭い事になると思ってね。……それにディルが不安そうにしてたし」
そう言ってフタバは少し困ったように笑う。
あれだけ嫌がってたのに、国王に会うと言い出したのはディルの為…か。
「ねぇ、王様ってどんな人なの?」
「……俺も数回しか会ったことがないから、そう詳しくはないけど、凄い方だとは思う」
俺も会ったことは無いが、前国王、ディルの祖父に当たる方は、お優しい方だったと聞く。
でもその優しさゆえに、国が傾き掛けた。
王を退けようと、貴族たちが裏で手を回した。
それを事前に食い止めたのが現国王のジオルド陛下だという。
そのすぐ後、異例ではあるが前国王が生前退位を表明し、当時王太子だったジオルド陛下が国王を就任された。
ただそれは国を二つに分断するものだった。
ジオルド陛下が若すぎるという理由で国王就任を反対する者、ジオルド陛下に感銘を受けてぜひ国王にと押し上げようとする者。
両者の意見が真っ向からぶつかり合った。
それを鎮めたのもジオルド陛下だった。
その後ジオルド陛下は、治世的にも経済的にも底辺だったレオーネをここまで発展させた。
「………ディルのお父さんって凄い人なんだね」
ジオルド陛下の話をし終えると、フタバはボソッとそう呟く。
ジオルド陛下は凄い方だと思う。
でも、その分怖い方でもある。
「でも俺、大丈夫かな?」
「……何がだ?」
「ほら俺、閲覧の作法とか知らないし」
そう言ってフタバは悩む素振りをする。
「フタバの好きなようにすれば良い」
「それで大丈夫なのかな?」
とフタバは不安そうな顔をした。
「大丈夫。いざとなれば俺が居る」
そう言ってフタバの頭に手を置くと、フタバは『うん』と頷いて笑った。
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