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第172話

俺が魔力中毒で倒れてから約1ヶ月。 ようやくリオさんから全快だと言われた。 俺が目を覚ましてから魔力が完全に馴染むまで一週間掛かった。 魔力が馴染むまで魔法が使えなかったから、魔力操作の練習もほぼ一から。 あと、その一週間殆ど動けなくて、衰えてしまった体力を戻すのに今まで掛かってしまった。 リオさんのスパルタについていくの大変だった…… この1ヶ月の事を思い返すと、ちょっと目頭が熱くなった気がした。 魔力が体に馴染んだ事で、ちょっと変わったことがある。 それは、魔法の発動がしやすくなったこと。 リオさんの話だと、今までは別のところにあった魔力を引っ張ってきて魔法を発動してたのが、魔力が体に馴染むことによって自分の一部として使えるようになったと言っていた。 その話を聞いて、俺は『なるほど』と納得した。 他にも使える魔法が増えた。 魔力操作がスムーズに出来るようになったことで、イメージ通りに魔法が発動出来るようになった。 俺は思い付くまま、色々と魔法を試してみた。 そのお陰で、水魔法をアレンジした氷魔法が使えるようになった。 後は他の属性を合わせる混合魔法も使えるようになった。 ただ、ちょーっとやり過ぎてリオさんに怒られたけど。 でもやっぱりイメージが出来ない無属性の魔法は使いこなせなかった。 「フタバも落ち着いた事だし、そろそろ前に話してた事を実行するか」 朝食を食べてると、不意にディルがそう言う。 「そうですね、フタバさんもレベルアップしていますし、良いと思います」 と、リオさんがディルの言葉に返した。 「………前話してた事?」 二人が何の話をしているのか分からなくて、俺は首を傾げた。 「なんだ、もう忘れたのか?あれだけ楽しみにしてたのに」 そう言ってレイスがフッと笑う。 前に話してた事で、俺が楽しみにしてた事……… そこまで考えて、俺はピンッときた。 「ダンジョン!?」 「ようやく思い出したか」 そう言ってレイスが笑う。 「ダンジョンに行くの!?」 俺がディルを見ると、ディルがフッと笑った。 「フタバの魔法もかなり上達したしな、そろそろ頃合いだろ」 そうディルが言う。 やった~~~!! ようやくダンジョンに行ける! どんな魔物がいるのかな!? あ~~!!すっごい楽しみ!! 「楽しみなのは分かったから、ちょっと落ち着け」 ダンジョンに行けるってことでテンションが上がってる俺にレイスが言う。 「大丈夫だよ~、ちゃんと落ち着いてるから」 そう言う俺に、レイスがジト目で見てくる。 「……ニヤけた顔で言われても説得力がない」 レイスが呆れ気味に言った。 「え!?俺、ニヤけてた?」 そう聞くと、レイスが頷く。 どうやら楽しみ過ぎてニヤけてたみたい。 そう思って、俺は頬っぺたをモキュモキュと揉んだ。

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