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第267話

(ディルside) フタバが城壁に触れると、そこに魔法陣が現れた。 魔法陣が現れた瞬間、凄まじい爆音をあげた。 爆風が襲ってきて、俺とリオは咄嗟に手でガードする。 爆風が収まって見てみると、城壁の一部が崩れ落ちていた。 フタバはそこから城内に入っていった。 「…フタバ?」 何だ?フタバの様子がおかしい。 「ディル様!」 リオの声にハッとする。 砂塵が収まって城内がはっきり見える。 そこには爆音を聞き付けた兵士たちが集まってきていた。 「……まずいですね」 そうリオが呟く。 俺とリオが応戦すれば国同士の争いに発展する可能性がある。 あの兵士たちに、下手に手は出せない。 かといって何もしないのも…… どうするかと考えていると、フタバの周りにまた魔法陣が浮かび上がった。 その魔法陣から無数の黄色い蝶が現れた。 ………これはフタバの魔法? 黄色に光輝く大量の蝶が舞う光景はとても幻想的だった。 そう思ったのも束の間、その蝶に触れた兵士たちが次々に倒れていった。 何か起きてるんだ?あれは攻撃魔法だったのか? そんな事を考えている間に、集まってきていた兵士が全て倒されていた。 「……これは…フタバさん、かなり怒ってるんじゃないですか?」 そう言うリオに、俺は倒れている兵士の中に一人立つフタバを見た。 ここまで攻撃的なフタバは見たことがない。 冷静に見えて、そうでは無かったのか。 そう思っていると、ふとフタバと目が合った。 「どうするの?」 フタバがそう聞いてくる。 ………このまま進んで良いのか? こんな行き当たりばったりで上手くレイスを助けられるのか? 俺はもう一度フタバを見た。 ……いや、レイスを助けると決めたときに覚悟は出来ていた。 今さら後込みしてどうする。 チラッとリオを見ると、リオも小さく頷いた。 「行くぞ」 「はい」

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