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第339話

今日は初めてってことで何も分からないから、高橋さんの側で高橋さんの指示に従うように言われた。 今日の主な仕事内容は店内の掃除と食器の片付け。 ただいつお客さんが来るか分からないから、妙に緊張していた。 今日来たお客さんは女子高生のグループが一組とサラリーマン風の男の人。 高橋さんの話だと、普段もこんな感じみたいだ。 それを聞いたとき、ふと『一真さんのお店はあまりお客さんが来ないから』という日向先輩の言葉が頭に浮かんだ。 それと同時に『それ凹むやつだから』という佐倉先輩の言葉も浮かんでちょっと申し訳なくなる。 でも初日からお客さんが沢山来たらどうしようとも思ってたから、あまり来なくて良かったと内心ちょっと思ってしまった。 高橋さんは俺に配膳くらいは出来るだろうと思ったのか、女子高生グループの注文の品を持っていくように頼まれた。 普段秋哉とかに食事を運んだりしてるから、これくらいならと思うけど、やっぱり普段とは違って緊張してしまう。 無事に運び終えてカウンターに戻ると、俺はホッと息を吐いた。 ふと女子高生たちを見ると、何かキャッキャと話していた。 俺が運ぶことで、何か不快にさせないか不安だったけど、それは無さそうでちょっと安心した。 その時ふと視線を感じて見てみると、青木さんがこっちを見ていて、俺は顔を逸らしてしまった。 今日俺がここに来てから、時々見られてるような気がする。 俺、何かしたかな? ………青木さんのあの目、なんか苦手だ。 あの射抜くような目で見られると動けなくなる。 何で青木さんは俺を見てるんだろう。

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