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第340話
………疲れた。
慣れないことをしたせいかな、なんかすごく疲れた気がする。
3時間しか働いてないし、今日は殆ど何もしてないのに疲れたなんて、本当は駄目なのにな。
そう思って、俺はため息をついた。
「なぁ」
俺がスタッフルームで着替えていると、突然後ろから声を掛けられる。
振り向くと青木さんが居て思わず体揺れた。
「…ぁ……えと……お疲れ、様…です」
なんとか挨拶をする。
でもやっぱり目は見れない。
何か話さなきゃと思うのに言葉が出てこない。
「緋桜くーん!」
どうしようと思っていると、高橋さんが俺の名前を呼んでスタッフルームに入ってきた。
「あ、ごめん、もしかして何か話してた?」
俺たちの立ち位置を見てそう思ったのか、高橋さんが申し訳無さそうにそう言う。
「…あ…大丈夫です」
そう言って俺は高橋さんに駆け寄った。
正直、高橋さんが来てくれて安心した。
このまま青木さんと二人は耐えられないと思った。
「そう?大丈夫なら良いけど……」
そう言って高橋さんが青木さんに視線を向ける。
俺もそれに釣られてチラッと青木さんを見た。
俺が見た青木さんは、もう帰り支度を始めていて俺はホッと息を吐いた。
「あ、そうそう!緋桜くん、木崎くんが来てるよ」
そう言われて、俺はパッと高橋さんを見る。
「秋哉が?」
「うん、今店の方で待っててもらってる」
そう聞いて、俺は店の方に走っていった。
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