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閉会式

「きいちは好きなやつとかいんの」 「えっ、恋人?いませんけど」 「まじで。」 「まじよ。」 そんな真剣な顔して何を聞かれるかと思ったら、まさかの恋人の有無確認でした。やめて切なくなってきた。 「俊君は?俊君も童貞でしょ?そうだよね恥ずかしがらなくてもいいんだよ!」 「どどどど童貞ちゃうわ!って言う流れだろうけど階段登り切る前に終わった。」 「何それ一番キツイ」 「それな。」 男子高校生への恋人の確認は、シモネタ話す前ふりである。僕も俊君も高校2年だから、早い子はもう大人の階段のぼってるんですよねぇ。益子もカメラ小僧の癖して筆卸は近所のエッチなお兄さんがいいとか言ってた。 いいじゃんエッチなお兄さん…僕はむちむちよりスッキリした細身の子が好きだけど。 俊君の好みのタイプはなんだろう。聞いてみたいような気がしないでもない。 思わずジッ、と見つめると、長いまつげをぱちぱちさせて見詰め替えしてくる。 顔面偏差値くっっっそ高い。まつげの上にマッチ棒乗せれそう。 「しゅんく、」 「ん?」 ピリリリリ、とスマホの着信が言葉を遮る。条件反射で慌てて出ると、実行委員の一人だった。 はぁぁやばいですね、僕完全に忘れてましてすんません閉会式はじまってんのまじかぁぁぁあ… くっそでかいため息を思わず吐き出すと、気持ちを切り替えた。 「俊君ごめん!閉会式おわったら連絡するから少しだけ外で待ってて!!」 「おー、なるはやで。」 僕はくぅー!と変な声を出しながら途中までついてきた俊君と別れると、慌ただしく走りながら体育館へ向かった。 まじで俊君に走らされてばかりとかいったけど割と自分のせいな気がしてきた。ごめんよ俊君。 体育館へ再び滑り込むと、生徒会が閉会の言葉を全校生徒にむけて発信している最中だった。 すまんね後輩くん!この詫びはいずれ忘れてなければさせていただこう。と心に留めながら、こっそりと列をなして並ぶ中に混じる。 壇上の吉崎は、いつもの制服に着替えてはいたが、何かを探すように出口の方へ度々目線を投げていた。 はっ、 吉崎に口止めしないとじゃん!?!? すっかり忘れていた優先事項を吉崎本人を見て思い出す。あんま吉崎と話したことないけど、今日のアレで意外と親しみがもてるのではないかと思えたので、いけるきがする。オーケーきいち、ビークールに行こうぜ。お前ならできるさ。 「おいこら」 「ぅぐ、」 生徒会の閉会の言葉も無事終わり、これで残すは打ち上げのみと実行委員としてすこしほっとしたのだが、笑顔の益子が待ったをかけたせいで他の生徒に混じって逃げることは許されなかった。ひぃ。 「きーいちくん。俺になにか言うことない?」 「益子くんと同じ説明を吉崎にもしなきゃいけないんですよねぇ。」 「そこはセットにしよ?俺と吉崎でお話聞くよ?ね?」 「食いつきがすごい。」 お前は吉崎とお近づきになりたいだけだろう!エッチなご近所のお兄さんはいいのか。 吉崎はかわいそうに閉会式の最中も上の空だったせいで書紀から怒られとる。吉崎が書紀だと思ってたけどあいつは会計?見た目が書紀な気がしてたのにぃ。 「ちなみに姫は副会長だぞ。」 「うっそそんな偉かったのか吉崎!ナースだったくせに!」 「拓かれた校風だから生徒会も親しみやすいということですね可愛いぶちおか。」 「息するように変態発言するじゃん。」 わらわらと一部の生徒がお近づきになるきっかけを作ろうとステージの下に集まってる。 芸能人の握手会ですかここは。会長の末永は何故か「媚を売っても予算は上乗せせんぞ!!散れ!!」とか言ってる。人の好意を素直に受けとれないところが可愛いとかで人気らしい。狂った性癖多くない? 「ひとまず、吉崎呼べないかなぁ…僕あの筋肉の中に突っ込んでくの嫌なんだけど。」 「運動部はとくにムサイ奴ら多いしな。」 「というか俊君またせてるのも悪いし先に回収しにいこうかなぁ…」 スマホをぽちぽち操作をして場所を聞くと、割と近くにいるらしい。裏門のそばの植木に座っているとのことだったので、ひとまず益子を連れて向かうことにした。

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