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可愛いおねだり *
結局あの後は周りが惜しむのも意に介さずにきいちと一緒に帰ることにした。
上原も木島も完全にきいちを見る目が変わっていたし、そもそもうちのバスケ部には見慣れない男オメガの中性的な容姿に当てられた奴らも多かったのだ。
濃い焦げ茶で毛先だけ緩くパーマがかかったような癖っ毛のきいちはめずらしく前髪をおろしてセンター分けだ。右側だけ髪を耳にかけているので細い首筋と揺れるゴールドのリングピアスがやけに色っぽい。
幅が広い眠たげの二重の奥には薄茶の虹彩に微かに緑が入る狼の瞳だ。
きいちは自己評価が低い。小学生のころから大人っぽい見た目に反して行動が幼児のようなアホさを持っていたので、周りは残念な目で見ていた。
だが一部の大人にとっては加虐心を煽られるような中性的な容姿はきいち自身に望まぬ試練を与えることもあった。小学生の頃、準備室で何があったかはまだ教えてもらっていない。
言う必要性を感じていないのか、それとも重い蓋で閉ざした記憶なのかは分からない。
「俊くん。」
「ん?」
ふわりと香るきいちの香りがすきだ。身長差があるので見上げるようにしてきいちが名前を呼ぶ。この掠れたようなおっとりとした声と口調が、ベッドの上では涙混じりの甘い嬌声に変わる。余計なことを考えて反応しそうになった己を鎮める。なんだか頬を染めながら背伸びをしてくるので耳を貸した。
「もう、えっちしていいって。だめかなぁ…」
「えっち。」
「もしね?もし俊くんもしたいなぁってなっ、」
「する。」
若干食い気味に言うと、ぽかんとした後に嬉しそうに照れながら笑う。ゴクリと生唾を飲み込んだ。あの事件がおこってから插入は控えていたので、ちゃんとするのだけでも一月ぶり位だ。
もともとセックスに対して自分から誘ってくることが無かったので、こうしておねだりのようなことをされると弱い。と、いうか男冥利に尽きるだろう。思わず握られた手を握り返すと肩口に頭突きをしてきた。その耳は赤く染まっている。
「僕だけしたかったらどうしよっかなってなってた。」
「馬鹿。好きなやつとは、したいだろ。」
「へへ、うん。」
「ぐっ。」
番がこんなにもかわいい。俊くん今日変な声いっぱい出るね?と楽しそうにしているが、後々変な声出させるつもり満々なので今は好きに言わせておいた。
「なんか毎回、俊くんのおうちで申し訳ないなって。」
「日中親いないからな。ホテルがいいなら着替えてから行くか?」
「ホテ…、興味あるけど今度で…」
「ならデートするか。」
スラックスにワイシャツだけになったきいちを膝に座らせながら言う。そういえば、なんだかんだ放課後一緒に帰るくらいでデートしたことはなかった。何となく言うと、よほど嬉しかったのかぎゅうと抱きつかれた。
「デート楽しみ。何着てこっかなぁ…」
「きいちの制服かジャージしかみてないからな、私服楽しみにしてる。」
「ん、気合い入れてく。」
さらりと頬にかかる髪を耳にかけながらその柔らかい唇に甘く吸い付く。ちゅ、とリップ音をたてながらワイシャツのボタンをぷちぷちと外していった。
「ん、んっ…ふふ、…ん、む…」
「ん、…ご機嫌だな…」
「ふは、うん…っちゅうすき…ぁっ!」
トロンとした目つきで唇の柔らかさを何度も確かめるかのように啄む様子が愛しくて、はだけたワイシャツの隙間から手を差し込んで胸元の突起をキュッと摘んだ。
ピクンと肩をはねさせて恐る恐る唇にきいちの薄い舌が入ってくる。舌同士を擦り合わせるかのような濃厚な口付けに弱いのは知っているので、何度も味わうように絡めながら、中指と人差し指の間で何度も挟む力を変えて突起を刺激する。
「ん、んっぁ、っ…ぁふ…」
「ふ…きもちい?」
「ふ、ぅ…きも、ち…」
口端から唾液をこぼしながら何度も絡まる舌に身を震わせるきいちのワイシャツの裾を引きずり出し、スラックスの隙間から手を侵入させるとまろい形の良い尻を直に揉んだ。沈み込むようでありながらハリがある底はしっかりと手に吸い付き、癖になるような弾力がある。
頬を赤く染めたきいちがおずおずと唇を離して俺の性器を布越しから撫でる。
恐る恐る確かめるような意味合いでそこに触れてくる姿が可愛く、その薄い手のひらに押し付けるようにすると首から顔まで一気に赤く染め上げた。
「あ、あのさ…」
「ん、どした。」
「な、…舐めたい…って言ったら、引く?」
まさかきいちからそんなことを言われると思わず、思わず呆気にとられて反応が遅れた。その様子に言葉を取り消そうとするきいちに慌ててお願いしますと言った結果、ベッドに座った俺の足の間に正座するようにして俺の性器を恐る恐る取り出す姿を拝むことが出来た。
「あんま、無理すんなよ…」
「うん、大丈夫…、下手だったらごめんね…」
「ん、むしろそっちのが燃える」
「あはは、なにそれ…っ、ぁ…む…」
思わず息を詰める光景だ。小さい口を一生懸命開いて優しく俺の性器を口の中に包み込むようにして含む。熱く、唾液で蕩けるような中にゆるゆると動く薄い舌が裏筋を辿るかのように何度も往復しては、先端を甘く吸われる。正直、視覚の刺激だけでもイけそうだ。
「っ…そう、…あ、…ん、すげ…っ…いい…」
「は、ぁむ…っ…んん、…ふ…」
ぢゅ、ぢぱっ…と端ない唾液の音を立てるのが恥ずかしいのか、大きい音が立ってしまうたびにビクンと肩をはねさせて、再びぺしょぺしょと優しく舐めては吸う。まるでもむもむと口を動かしながら味わうように目を細める顔がえろすぎて、暴発する前に口を離させた。
「っ、もう…大丈夫。イきかねない。」
「ぷぁ…っ…出してよかったのに…」
「イくなら全部、お前んなかにだしたい。」
「わ、っ…」
脇下に手を入れて持ち上げると、そのままベッドに乗り上げさせる。俺の上を立て膝でまたぐようにさせると、かちゃかちゃと音を立ててきいちのベルトのバックルを外して下着ごとスラックスをおろした。
「ゃ、っ…ちょっとま…っ」
「パンツも濡れてたからまさかと思ったけど、甘イきしたみたいにびしょびしょだな。」
「ぅう…っ恥ずかし…っぁん!や、やめっ…」
「なんで?次はお前が気持ちくなる番だろ?」
張り詰めて先走りでしとどに濡れたきいちの性器を指で輪を作った中で滑らせるように刺激してやると、ちゅく…粘着質な音が摩擦によって生み出され、往復するたびにきいちの体と声が甘くとろけたものになる。ゆるりと本能に従って小ぶりな尻が快感を追うように動く様子が可愛くて、俺の興奮はどんどん高まって行く。
「ぁ、あっ…ゆ、指…っひぁ、あっ…くちゅくちゅ…って…おしりも、シて…っ」
「おねだり上手め。腰動いてんぞ…」
「ゃ、いわな、ぁあ、あぅ…っで、でひゃぅ…っ」
「はぁ…かわい…」
きいちからのおねだりに、勃起した俺の性器はこれでもかと張り詰める。ぬくりと一本指を胎内に侵入させれば、待ち望んでいたかのようにぐねぐねと揉み込まれるようにして飲み込んでいく。
「ふ…ナカ、すげぇうねってる…挿れたら気持ちよさそうだな…」
「ぁ、っ指、たりな…っ…ぉく、もっと…ぁあっ!」
目に涙を溜め、だらしなく開いた口から甘えるような声を出す。
内股が刺激に耐えられず小刻みに震えていることからそろそろイくのだろう。指を二本、三本と増やしながら片手で蕾の縁にゆるゆると性器を擦り付けた。このままきいちが腰を下ろせば入ってしまうだろう。それをわかっているのか、ごくりと生唾を飲み込んだのはどっちだったか。
「ぁ、…い、れて…い…?」
「ん、いいよ…ゆっくりな、」
「ぁ、は…っ…あ、あ、あ…っ…」
「熱…っ…」
待ちきれなかったのか、指を引き抜くとそのままゆっくり腰を下ろすようにして押し開くように飲み込んでいく。ドロドロに溶けた粘膜は腰が溶けるほど気持ちがいい。久しぶりの插入に暴発しないように根本を押さえていなければ、そのまま中に注いでしまっていたかもしれない。と考えてはっとした。
「っ、ゴム付け忘れた。一旦抜け、っ」
「ゃ…っ…ヒートじゃないし…平気…」
「でも、後でかき出すの辛いのはお前だぞ」
「ん…中にほしい…だめ?」
きいちの言葉に思わず性器を膨らませてしまうと、嬉しそうに「正直者め。」と言われ、きゅうっと内壁で性器を甘く締められた。
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