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番外編 執着を刻む **
腹の奥がくちくなって、むずむずする胸も早くどうにかして欲しかった。学は快感に弱い。だけどおねだりが下手なので、自分でどこをどうしてほしいとか、ここをもっとよくしてほしいとか、そういう端ない部分を口にするのは憚られた。
だから学は、目の前で美味しそうに涎を垂らす末永の性器を物欲しそうに見つめながら、まるで乳をねだる子猫のようにちうちうと自分の指を咥えては、震える足をすり合わせるしかないのだ。
「物欲しそうだな、学。」
意地悪な声色で、捕食者のような目の色で末永が笑う。低く甘い声は、簡単に腹の奥をやわく緩めて。蕾の収縮も緩慢に、答えるようにひくついた。
末永が学に求める言葉は、お強請りだ。
いつもは振り回してばかりの学だが、閨になると後もだめだ。まるで幼い子供のように駄々をこね、泣いて、愚図る。
「やだ、やだぁ…っ、も、ひぅう…」
「やだやだばかりじゃわからないぞ、何がほしいか口にしてみろ。」
「ぁ、ふ…」
差し入れられた親指を甘えるように吸う。学の頬は薔薇色に染められ、いたんだ金髪が張り付く白く細い首元までもが誘うように薄く色づく。
ちぅ、と音を立てて吸い付く。まるで末永の親指を性器のようにみたてて薄い舌を這わせる。
学は、まだ咥えたことが無いはずなのに、親指の先を甘噛みして指の付け根から舐めあげる様子はひどく煽られた。
「っ、おまえ…」
「あぅ、ふ…んん…よーへー‥」
桜貝のような薄い爪が彩る指先を、赤く張り詰めた性器に這わせる。学の小さな手には収まりきらないそれをゆるゆると扱きながら、まだくれない?まだだめ?と泣きそうになりながらぺしょぺしょと指を愛撫する。
「っ、馬鹿。本当にお前は馬鹿だ。」
「馬鹿って、ぁあっ、ん…!」
そんな小さな手で下手くそな手淫を行われた末永は、涙のように溢れる先走りをその手に塗付けながら、まるで縁を引っ掛けるかのようにして蕾をもて遊ぶ。
くぽくぽと音を立てながらよだれを垂らすそこに、先端を含ませては引き抜くという繰り返しを行えば、荒い呼吸で学が腰を揺らめかす。
「言え。言わないとやらんぞ、学。」
「いや、だ…っ、いじわる…」
「悪いな。好きな子には意地悪したいガキだからな。」
「ぁぁ、んっ…やらぁ、っ…ほしいよぉ…っ、」
「そうだ、もっと欲しがれ。何が欲しい、言え。」
覆いかぶさり、額を重ねて視線を固定する。涙で溶け出した学の表情に性器が膨らむ。我ながらとんだ性癖だと自嘲した。
末永の薄い唇に、学の舌がのばされた。ぺしょ、とひと舐めすると、震える唇で今の学の精一杯の気持ちを吐露した。
「ぉく、いれてぇ…っ、…」
掠れた情けない声で紡がれた言葉に、ニヤリと不敵に笑った末永は、待ちくたびれた獣のように性急に唇を重ねると、か細い悲鳴を飲み込むように舌を絡ませながら、あてがった性器を蕾を押し開くようにしてひと息に挿入した。
「ーーーーっ!」
ビクビクと体をはねさせた学は、声なき悲鳴と衝撃にグッ、と背筋を反らす。そうすると太く熱い末永のそれが、容赦なく前立腺を抉る形になってしまった。眉間にシワをよせて快感をこらえた末永が唇を離すと、だらし無く舌を見せた学が涙を溢しながら飛んでいた。
「ふ、いい顔だ…っ、」
「ひぃ、いっ、や、やぇ、んぁ、あっぁー‥」
「ぐ、あ…っ、」
内壁を引きずるように、絡みついた媚肉を摩擦する。学の薄い腹に手を添えながら、臍の下をぐっ、と押すと、きゅうきゅうと先端に強く絡みついてくる。
まるで暴力のような強い快感に、学の性器はじょろじょろと潮を漏らし、ビンクのナース服に濃いシミを残していく。
末永の茂みがぴたりと学の尻にくっつく頃には、声も出ないほどの気持ちよさに、ただなすがままにガクガクと揺さぶられるばかりだ。
「あ、あ、あ、あ、あ、っ」
「はぁ、っぁ…っ、」
「ぁ、あん、っい、いぁ、あっゃ、ふ、ぅあっ」
「はぁ、っ…くそ、なん…っ、あぁ、っ」
先端をぐぽりと飲み込んだそこに、末永自身も目の前が明滅するほどの快感に見舞われていた。相手のことを思ってやれる余裕がなくなるほどの強い刺激だ。まるでむき出しの神経を直になめられているような、そんな感じの。
学は末永の下で、全身を赤く染めながら押し付けられたシーツに縋るように爪を立てては、びくりと体を震わせてぷしゃりと漏らす。赤く色づいた乳首がいやらしく光り、末永はゴクリと喉を鳴らした。
「ひぃ、あっ、?」
急に腰を鷲掴まれ、がくんと持ち上げられる。勢いづいたその行為に学の意識が微かに戻るが、末永の腰の上に跨いで座る形を取らされたばっかりに、より深くのみこまれた性器に、がくがくと体を震わせた。
「いぁ、ぁっあっだ、ぇ、だぇら、かぁ…も、やぁあ…!!」
「フー‥ッ、」
「ぎぃ、っ…!ァ…あ…」
がぶりと学の反らした首に、末永の犬歯が食い込む。獲物にとどめをさすような行為に、背筋を甘く痺れさせた。
この男が余裕を無くすのも、乱暴に抱くのも俺だけか。頭を過ぎったその事実に、びりびりと痛むはずの首筋の歯型を確かめるかのように舌を這わす。
そのまま反らした胸の突起を末永が舐るようにべろりと舐めあげると、唇で挟んて吸い付いた。
「んやぁ、あっ、つよ、ぃ…ぁあっ!」
尻を鷲掴まれ、ぐりぐりと押し付けるようにして結合部に腰を固定される。ぢゅぱっ、と水音を立てながら吸い付かれた胸に顔を埋める末永の頭を抱えながら、何度もパチュパチュと音を立てられながら内壁をぐずぐずになるまで溶かされる。
欲張りに末永の先端を頬張るように学の奥が性器を受け入れると、腰が抜けるほどの快楽は、学も末永も理性を手放すのには十分過ぎるほどだった。
「ひぁ、っン!よ、へ…っ、ようへぇ、っ!」
「はぁ、くそ…っ」
「も、ぉわってぇ…っ!し、んじゃ、ひぅうっ、ぁ、あんっ!」
何度も深くまで付き入れ、末永の腰に絡ませつ足には力が入らなかった。ぱしゃぱしゃと水っぽい音が響く中、再びベッドに体を押し付けられた学は、肩口に額をくっつけたまま揺さぶられるままに身を任せた。
「ああ、イく…そろそろ、っ…」
「やぁ、あっ…ちゅぅ、してぇ…っ、」
「んの、ばかめ…っ、」
「んンー‥っ!」
ごちゅ、と奥深くまで叩きつけた性器がぶわりとふくらんだ。絡めた舌に深く吸い付きながら、末永はまるで刻み込むかのように揺さぶりながら、何度も精液を塗り込むかのように擦りつけながら遂情した。
「っ、っ…」
がくん、と力が抜けたようにくたりとした学の頬をそっと撫でる。末永の腰に絡みついていた細い足はぱたりとシーツに投げ出され、よくよく見ると吸い付いた胸の突起は少しだけ腫れていた。
「ハァ…く、…ま、なぶ…っ、?」
「………、」
荒い呼吸を整え、反応を示さなくなった学の中を数度擦り付けてから性器を抜くと、ぷぴゅ、と粘着質な音を立てて精液がごぽりと溢れ出る。
蕾を押し開き内壁を広げると、自分でも笑えるほど出していたらしい。あっという間にベッドシーツはじわじわと精液を染み込ませた。
「はぁ、…学…」
「っ、…」
末永は隣に横たわると、くたりとした学の体を抱き込んだ。自分は執着が凄い、改めて自覚する位には離したくなかった。
泣き腫らした学の目元をぺろりと舐めると、汚れたシーツはそのままに華奢な体を離すまいと抱き込んで目を瞑る。
片付けは明日やればいい。どうせまた汚れるのだから。
翌朝、隣でまどろみから覚めた学は、再び末永によって朝からバカみたいに泣かされることになる。
お泊りの3日間、体全てに末永を教え込まれた学が、自分はマゾなのだろうかとしばらく本気で悩むことになるのを、このときの学はまた知らない。
昼間の手綱を明け渡した末永の、知られざる欲の一面。己好みに学を翻弄することに愉悦を覚えるサディストの気質は、学が無意識に育んでしまったものかもしれない。
末永は寝ている学のあどけない唇に甘く噛みつくと、首筋に強く吸い付いて痕を残した。
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