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番外編 たんと召し上がれ *

沢山沢山書き直したあとがある手紙だった。 何なら消しカス手紙に挟まってたし、ちょっと寄れてるし、少し不格好になった便箋に綺麗な字で綴られた俊くんからのラブレター。 「なんかいえ…」 「なんか、胸が、いっぱいで…」 初めての好きな人からのラブレターは、それはそれはキラキラした宝物だ。バレンタインのお返しに、こんなに素敵なものをくれる僕の番。隣で顔を真っ赤にして、僕の方を見ない連れない俊くんへの思いがぶわりとふくらんで、とめどなく溢れて部屋を満たしていく。 ピンクでふわふわで、夢見心地のようなこの気持ち。なるほどこれが幸せか。僕の幸せの色は、パステルカラーのピンクにミント、そしてブルー。それらがバランス良く、もこもこのバブルでふわふわとシャボン玉のように浮いている。 僕の心にこんなメルヘンな世界を作ったのは、俊くんだ。 「好き。」 「ん?おう…」 「好き、大好き、愛してる!」 「大盤振る舞いだな。」 手紙をもったまま、隣に座っている俊くんに抱きつく。そのままうざいくらいに顔中にキスをすれば、楽しそうに笑いながらボスンと音を立てて二人でベッドに寝転んだ。 抱きしめて、抱きしめ返しながら、大好きな俊くんの匂いをたくさん堪能する。首筋に顔をうずめて、すりすりと擦り寄ってマーキング。この人は僕のだと、オメガのフェロモンで匂い付けするかのように甘えた。 珍しいと言った顔で少し驚いたあと、ニヤリと笑う俊くんの唇に吸い付く。僕を抱きしめたまま、俊くんはおとなしく僕の唇を受けてくれる。 この極上のアルファは僕のものだと言うマーキングは、独占欲の現れだ。首筋に吸い付いて痕を散らして、最後にお揃いの手首の歯型に舌を這わせた。 「ぼくの、」 「うん。」 「ふふ、誰にもあげないんだ」 「いつも、これくらいわかりやすくてもいいんだぞ。」 「やだよ、てれるもん。」 「残念。ふふ…」 俊くんの唇をに親指を突っ込んて左右にゆるく引っ張り唇を開かせる。僕のやりたいことを理解した愛しい番は、嬉しそうに破顔して口を開いて舌を差し出した。 「ん、あ…」 舌先をくっつけ、唾液を与える。オメガの匂い付けで1番執着を表す行為。アルファの匂い付けが精液を流し込むことだとしたら、この行為もなかなかに性的だ。 こくりと飲み込んだ俊くんが、そのまま舌を絡ませて唾液に吸い付く。まるで性器をしゃぶるかのような舌使いで、何度も何度も唾液を交換した。 「きいち、もっとマーキングして。」 「んぁ、っ…ふふ、俊がして…僕のこと、たくさん噛んでいいよ。」 「痛いぞ、いいのか?」 「うん、項以外、ぜんぶ噛んでいいよ。」 項は、その時まで。 ぎらりとした、強い雄の目に胎が喜ぶ。俊くんに跨ったまま、首筋を甘噛みしながら着ていたシャツのボタンを外す。履いていたジーンズは奪われるように雑に引き下ろされ、床に落とされる。タンクトップの中に手を滑らせながら腹筋をつかって起き上がった俊くんが、そのままの勢いで僕を押し倒して首筋に噛み付いた。 マウントをとられ、支配されることが喜ぶ体は抵抗をせずに、体の力を抜く。甘噛みをしながら、肩に舌を這わせて犬歯を立てる。僕は、けしてマゾなんかじゃないのに、それが嬉しくて先走りで下着を濡らした。 「は、…ぁぐ…、きーち…」 「しゅん、っ…かわいい、すき、だいすき…」 僕の大好きな俊くんが大型犬か、狼にみえてくる。息を荒げて、体で僕を押さえつけながら急所でもある首筋にあぐあぐと噛み付いてくる。 背中に腕を回して背筋を撫でれば、お返しと言わんばかりに乳首を強くつままれた。 「ぁ、っ…それ、…すき…」 「ふ、…」 顎をベロリと舐め上げられ、反対側も忘れないと言わんばかりにガブガブ。左肩よりも強く、本能のままに噛む右肩はしっかりと歯型がつき、少しだけ痺れるような痛みを感じた。労るように舐めながら、薄い胸や二の腕、腹、内腿、それはもうありとあらゆるところまで念入りに。 舐められて、噛まれて、性器は優しく唇で挟むように吸い付く。僕はただ体の力を抜きながら、俊くんが望むまま、好きなように抱かれた。 開かれた奥も、背中も腰も、尻の肉まで見事に俊くんの大きな口で噛みつかれ、性感に力加減を誤った僕が俊くんの背に爪を立てても止まらない。されるがまま、熱い手と舌で溶かされるように愛撫され、開かれた足の間に俊くんをお招きして、奥深くまでつながった。 「ぁ…きた、っ…しゅん、っ…」 「ふ、っ…ゴム、…つけてねぇ、悪い…」  「いい、っ…なまが、すき…、」 「っん…、淫乱…」 「ひ、ァっ…」 歯型だらけの体に、汗が沁みる。胎内を往復する俊くんの太い性器が、摩擦しながら内壁を引きずるように奥から縁までを往復する。 僕のそこは締め付けながら美味しそうに受け入れ、奥で舐め回すように先端をきゅうきゅう絞る。最初はゆっくり、馴染んでくると性感を追求するような動きでがつがつと腰をぶつけてくる。その雄を感じる強いマウントに取りすがりながら律動とともに、濡れそぼった性器をだらしなく揺らした。 「ぁ、ンっ、ん、んぅっふ、は、ぁ、ァあっ、はげし、っ…!」 「きい、ち…きいち…」 「あぁ、あっ!お、ぉくっ、ぉくつらぃ、っゆ、っくりぃ、いっ!」 「っぁ、あっ…いい、すげぇ、…もっと、ほしがって」 「しゅ、んっ…しゅんの、っ…ぜん、ぶっ…出してぇ!」 「ぐ、…あ…っ、」 「はぁ、ぁっ…!っ…、っ!」 どぷどぷと注がれる熱い精液を、一滴残らず飲み干す僕の優秀な腹を、優しくなでてくれる大きな手。 僕はベッドに体を投げ出したまま、甘い痺れに思考を濁らされたままひくひくと身を震わせた。 大きな掌が撒き散らされた僕の精液を塗り拡げながら、胸元から首、そして唇を親指でなぞられる。 はむ、と唇で親指を挟んで吸い付いた。 「ん、ふ…、しゅん…」 「まだ、たりない。」 「あ、っ…」 煽った僕が悪いんだけれも、存分に噛られた僕の体は、結局すべての歯型がきえるまでの一週間。人前に晒せない状態になった。 それでも、そんな噛み跡だらけの僕を愛おしげに見つめてくれる番の満足そうな顔を見て、たまにならいいかと甘やかしてしまうんだから、僕も大概である。 来年のバレンタインは、僕から俊くんにお手紙を書こう。僕の初めてのラブレターとチョコレート、花束も添えて。

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