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フラッシュバック
「はっ、はっ、・・はーっ・・・・・ふぅ、先輩速いです」
「ああ、すまん。本当はお姫様だっこをしたかったんだが悠眞が嫌がるだろう?」
「・・・まあ、はい。というか、なんで走ったんですか?」
「悠眞と2人になりたかったから、だな。
あ、そろそろだぞ」
「何、が・・・・・・ぁ。綺麗・・っ」
大きな音をたてて夏の夜空に打ち上げられたのは花火。
たかが学校の夏祭りでここまでするなんて、本当にすごい。
「悠眞」
「?なんです、・・・・・」
先輩に呼ばれ、振り向いた先には、先輩の顔があって。
そのまま、キスをした。
「!?」
「悠眞・・・、すまない」
「っひ、・・・や、ぁ」
「悠眞?」
「いや、やめて、くださいっ・・・・・」
なぜか、あの時の記憶が頭に次々と浮かんで。
あの時は嫌だった。嫌だったのに、それでも今のキスは嫌じゃなかった。
でも、怖い。
なんで、なんで。
「あ、ごめ、なさ・・・」
「すまない、本当に」
ぎゅうう、と抱きしめた。
先輩は、優しくて、あたたかくて。
自然と涙が溢れてきた。
ぼろぼろと、こぼれてしまって。
でも、このままでは先輩に勘違いさせてしまう。
違う、違うのに。
「ちが、ちがうんです。嫌じゃなくて、・・違うんです!」
「大丈夫だ、大丈夫だから。
ゆっくり、息をしろ」
「拓巳にキスされた時だって、嫌だった。
だから、先輩にキスされたのは嫌なはずなのに、っ、なのに!」
あの時は、本当に嫌だった。
それなのに、先輩とのキスは。
「・・・なのに、なんだ?」
「・・・・・嫌じゃ、なかった。逆に、嬉しいって、思っちゃった。
僕、おかしいんです。どうしよう・・・」
それだけじゃない。
また、したいだなんて、思ってしまった。
「おかしくない。おかしくないんだ」
「ほんと、ですか?」
「ああ。・・・多分、だが。お前は俺に惚れている」
「僕が、先輩に?」
惚れて、いる?
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