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紅茶
人がまばらな食堂。
昨日の事を知ってか知らずかジロジロと見られる視線が痛い。
今度からはもうここの食堂に行かないでおこうかな。
それでも、学校に居たら見られるのは変わらないのだけれど。
「あれぇ~~、また会ったねぇ~?
悠眞くん早起きぃ?」
「・・・沢樹先輩。先輩も早起きですね。
生徒会のお仕事ですか?」
「うん、そ~なんだよねぇ・・・。
あのバ会長が来いってぇ。あ。そーだ」
じ・・・、と沢樹が悠眞を見つめた。
「あの?」
「悠眞くんも一緒に行こ~?てゆ~か連れてくからねぇ?」
「え、あ、ちょっ・・・」
「んじゃ早く朝食済ませよ~?」
「あ、はい・・・」
って何受け入れてるんだ僕。
・・・沢樹先輩の言動が意味不明だ。
「先輩、ほんとに入らなきゃ駄目ですか」
「うん」
・・・どうして生徒会室なんかに。
なんかに!!!!
見た目的にまず、扉からして豪華だから内装も大層ご立派なんだろうけど。
それにこの人が役員なら他の人もクセが強いんだろうなぁ。
・・・会長さんはまともだったしそんなこともない、かな?
「はい、オープン」
「あ」
そうこう考えている間に勝手に扉を開かれた。
まだ心の準備ができていないのに・・・
「はいは~い、ボクが来たよ~~?
お迎えとかないわけ~??」
「ふざけたこと言ってないでさっさと仕事し、・・・・・・て誰だこいつ」
「あの・・・すみません、お邪魔して。
先輩に連れてこられまして」
「んの野郎・・・。お前なぁ、勝手に部外者連れてくんな馬鹿!」
部外者ね・・・。
僕だって来たくて来たわけじゃないのに。
「えー」
「えー、っじゃねぇ!!」
「沢樹先輩、もう帰っていいですか?
此処に来た理由が分かりませんから」
「む~っ。君が居るだけで楽しいからいいじゃん、ね?」
ね?って。何が。
貴方は楽しいかもしれないけれど僕は全く楽しくない。
「だって君、ほんとに面白いよ~?
此処の中にはどれだけのものを抱えているのか、とかさぁ~」
トン、と人差し指で胸をつつかれた。
その言葉に、僕の心臓は跳ねた。
急激に高鳴る鼓動。そして心に満たされる不安、焦り。
この人は、何を知っているのか。
否、何を言っているのか。
ふと、するりと抱きつかれ耳元で囁かれた。
「悠眞くんみたいな闇を抱えている人、ボク、だぁいすき」
「っ・・・!」
怖い。
なんだ、この人。
今すぐ、立ち去らなければ。
悪い予感がするから。
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