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お前の"普通"は?
「まずな、お前のなりたい普通。
お前の考える普通ってなんだ。
お前の中の普通か?それとも他の奴らが考える普通か?俺の考える普通?どれなんだ」
「・・・・・・」
そんなこと、言われると思ってなかった。
思わず無言になってしまい、気まずい空気が流れる。
「お前の考える普通と俺らの考える普通、どれも違うんだよ。
お前の考える普通ってなんだ?」
「僕の、考える普通・・・・・・。
僕は、みんなが考える・・・一般的な普通になりたいんです。
みんなみたいに、普通に、暮らしたい。
みんなみたいに、普通に・・・」
「なら聞く、普通ってなんだ」
「っ・・・普通に授業受けて、普通にお話して、普通に登下校して、普通に生活して「俺には分かんねぇよ、その普通が」
それなら、僕も聞きたい。
貴方が考える僕って何。
何をさせたいの。どんな答えが欲しいの。
どんな答えが正解なの。どうやって答えればいいの。
・・・もう、わかんないよ。
「・・・・・」
「黙ってちゃ分かんねぇだろうが」
「・・・すみません」
どう言ったら、先生は納得するの。
どうすれば、いいの。
どう言ったら、どう言ったら、どう言ったら・・・。
そんな言葉が、頭の中を堂々巡り。
「・・・ごめんなさい」
「おい、ちょ・・・」
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
延々と言葉を連ねる。
そんな悠眞に奈宮は慌てていた。
何故、急に・・・、と。
慌てる奈宮を他所に悠眞はまだ"ごめんなさい"、と言い続けている。
ふと、頭に一人の人物の顔が浮かんだ。
その人物はこの状態の悠眞を止められる気がして。
・・・電話をかけた。
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