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怖い

やだ、怖い、ごめんなさい。 ぼくが、嗚呼、嫌だ。 たすけて、だれか、タスケテ・・・ 「悠眞!!」 「ひっ・・・」 誰、僕を呼んだのはだれ。 見えないよ、目が、真っ暗。 だれ、だれ、だれ。 「悠眞、大丈夫だから。ほら」 ぎゅ、と誰かが僕を包んだ。抱きしめた。 知ってる匂いがする。 この匂いは、・・・政信叔父様? 徐々に視界が開けてくる。 目の前に写ったのは誰か・・・いや、政信叔父様の胸板。 「悠眞、大丈夫・・・大丈夫だ」 いつの間にか、"ごめんなさい"という言葉は途切れていた。 「・・・政信叔父様」 「どうした?大丈夫かい??」 こくん、と肯定の返事を返すため頷く。 「迷惑かけて、ごめんなさい」 「悠眞、迷惑など思ってはおらん。 悠眞が不安定になった時はこの私がおるだろう。 頼ってもいいんだ、いいね?悠眞」 そんな言葉を聞いて悠眞は目に涙を浮かべた。 政信は悠眞の目に浮かんだ涙を手で拭い、また抱きしめた。 「・・・・・・理事長、ご迷惑をおかけしました」 「原因はなんだね」 「俺が、神風を追い詰めました。 そしたら神風はいきなり"ごめんなさい"って言い出して・・・」 「政信叔父様、先生は悪くありません。 僕が、駄目なんです。僕が・・・」 縋りつく様に悠眞も政信を抱きしめた。 「・・・そうか、分かったよ。先生はもう戻っていい。 後のことは私が引き受けよう」 「すみません、失礼します」 「悠眞、怖くなったり不安になったらすぐ私に連絡しなさい。 まあメールでもいい。少しでいいから伝えてくれ?」 「分かり、ました」 「お前は強い子だ。今日のこと、気にしてはいけないよ」 そんなことない。強くなんて、ないのに。 だから、こんなことになっちゃったのに。 「・・・本当に、ありがとう。政信叔父様」 叔父様がいなければ、僕は生きていけないのかもしれない。 心が不安定で、僕自身でも操れない。 「ほら、そろそろ寮に戻りなさい。 カードは届いているだろう?それを差し込めば開くからね」 「はい。それじゃあ、また」 「ああ」

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