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初恋の月の裏側

「なあ、背中を触らせてくれないか」  躊躇いなくシャツを脱いでくれた。薄明かりに、はっきりと隆起した筋肉のシルエットが浮かぶ。綺麗だ。彫像のように美しい躰は、しかし、触ると温かく息遣いに揺れ……ここに生きていると実感させられる。 「ずっと、追いかけてた。ずっと、こうしたかった」  確かめるように、両手で強く背をなぞる。 「ずっと?」 「ああ」 「ずっとか。もったいないことしてたんだね。もっと早く君に……」  後ろからギュッと抱きしめて、言葉を遮る。 「俺は、十年間嬉しくて笑ってばっかり。友達として隣に居られて。お前は?」  答えの代わりに、腕を引かれ滾った陰茎に導かれる。 「僕は……早く抱いてくれ。準備してきたから」  体格差ができて以降、俺が抱かれる妄想はしてきた。そうか、お前は今宵嫁になる覚悟で家に来たのか。

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