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第2話

☆ナンパ☆ 井上小春 16歳。 今、俺は窮地に立たせられている。 「ねぇ、俺たちと一緒にご飯食べに行かない?」 そう、俺は現在進行系でナンパされている。 しかも男3人に…。 「い、いえ!お…私は用事あるので結構です」 そもそも俺がこんなナンパにあっているのは俺が女装しているからなのだ。 最初に言っておこう…俺に女装癖なんてない。 そんな趣味もありません。 これは俺の姉に強制的に着せられたものなのだ。 女装させられるまでの経緯は後で話そう。 今はそれどころではない。 しかし、うざいぞ。 この3人。 俺は男だっつうの! 「えー、いーじゃん。ね?すぐそこだから」 「本当に結構です」 俺が3人の間を早足で通ろうとした時、3人の内1人が俺の腕を掴む。 「痛っ!」 「本当近くだから。少し時間頂戴?」 あぁ、しつこい! 何が『少し時間頂戴?』だ! 俺は急いでるの! イライラしてきた…。 なんなの、本当に。 もう一層のこと俺が男だって言ってやろうとした時ーー 「ねぇ、その子嫌がってんじゃん。離してやれよ」 という言葉が後ろから聞こえてきたのだ。 俺は後ろを振り向いた。 そこにはレモンよりも鮮やかな金の髪を纏った男が立っていた。 えーと、不良? 「あぁ?なんだてめぇ。」 男の人が金髪の男を睨んだ。 「だから、その子が手掴まれて痛そうにしてるみたいだから離してやれって」 「はっ、俺達はこの子に用事があるの。今はてめぇみたいなやつと関わってらんないの。ね、もうあっち行こう?」 手を掴んでいた男が俺の手を引っ張ろうとする。 「ちょっ、離して!」 勿論、俺は男の手を払う。 しかし、払った俺の手が運悪く相手の頬に当たってしまった。 あっ…やばい。 これはまずいぞ。 男の目つきが変わったのは一目瞭然だった。 ついでに周りの男2人も。 「てめぇ、俺達が下手に出て誘ってやってるのになんだその態度?あぁ?」 「なめてんのか!」 なめてない、なめてない! やめて、そんな目つきで俺を見ないで! まず、怖いからその顔! 「ご、ごめんなさい。」 「謝ってすむなら警察いらねぇんだよ!」 「イラつくな。女でも容赦しねぇぞ。」 俺に叩たかれた男が俺を殴ろう手を挙げたのを見て殴られる覚悟をして目を瞑った瞬間だった。 バギッッ 嫌な音が響いた。 →

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