3 / 82
第3話
☆ナンパ☆
でも俺の体からは全くといって、痛みを感じなかった。
そして数回さっきと似た音がした後、周りは静かになった。
俺は閉じていた目をおそるおそる開いて…目を見張った。
そこには3人の男の倒れた姿と涼しい顔をした金髪の男がいた。
うん…実に酷いね。
何がって…光景が。
「全く、俺がいるのに女を殴ろうとすんなよ」
んっ?
この金髪の男は今なんて言った?
「大丈夫?怪我してない?」
「えっ、あっ、はい。大丈夫…です。ありがとうございます。」
聞き間違いかな。
「はぁー、君みたいな女の子が人気の無い場所を1人で歩いてたらダメだよ。ここら辺は危ないんだから」
そういいながら金髪の男は俺の肩を叩いた。
「………。」
俺の頭の中はそれどころじゃなかった。
聞き間違いではなかった…。
この金髪の男、いま俺のこと女って言ったよな。
オンナッテイッタヨナ。
オンナッテ…オンナッテ。
「って、あれ?どうかした?」
「………。」
「オーイ。」
なんなんだ、どいつもこいつも…俺は女じゃなくて男だよ!
俺は悔しさのあまり拳をぎゅっと握りしめた。
現状、女装はしてるけどさ!
どう見たって男であるのは確実では無いかと思う。
えぇい、こうなったらこいつの顔見てやるわ!
俺は金髪の男の顔を見るためにガバりと顔を上げた。
金髪の男の顔を見て俺は停止した。
「おぉ?!びっくりした。」
だって、だってこいつは…
俺がこの世で嫌いな…
イケメンだったんだ。
ともだちにシェアしよう!