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第56話
☆僕は男です☆
「…追いついた」
ガシャンッ
俺の耳にフェンスの無機質な音が響いた。
東条 千秋は今度は逃がさないとでも言わんばかりに俺の背後のフェンスに手をつき立ちはだかる。
これって今、世間を騒がてる男性が女性にやれば喜ぶと高評価を受ける…壁ドンってやつですよね?
フェンスだけど!
うわっ、嬉しくない!
むしろキモっっ!!
世間の女の子ってこんなの好きなわけ?
理解できねぇ…気持ち悪い…。
あっ、そうか俺は男だから嬉しくなるはずがないんだ。
納得!!
つうか、壁ドンのせいで顔が近い…こいつは険しい顔してるけど相変わらずイケメンだし。
俺は東条 千秋の顔が見たくなかったから顔を逸らした。
「おい、こっち向け」
「ごめんだな」
見るだけで吐き気がする。
てかもう俺の身体には拒否反応起こってますよー、言ってないだけだけど!
俺の反応が癪に障ったらしく、東条 千秋は俺の顔を片手で向かせた。
東条 千秋はさっきより険しい顔をしている。
「痛いんだけど?」
「こっちに顔向けないてめぇが悪い」
「はぁ?とりあえず、離してくれ」
話ずらいし。
離したらすぐ顔逸らしてやるわ。
「やだね、離したらまた顔を逸らすだろ?」
「……」
「黙ったってことはそうする気だったんだな?まぁ、てめぇが顔逸らさずにいてくれるなら離してやってもいいけど」
俺は東条 千秋をキッと睨んだ。
でも言わなければ離してもらえないようなので
「わかったから…離せ。」
と言って離してもらった。
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