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第55話

☆無言☆ 「碧、こいつら全員を連れて屋上からでてもらっていーか?」 俺が来て早々東条 千秋は柴崎にそういった。 「えぇよ。ほら、皆でてくでぇー」 柴崎はそれに従い、屋上にいる子分も立ち上がり始め、屋上の扉へ向かって歩いて行った。 「千秋、変な気ぃおこさんへんでな?」 と柴崎は扉から出る際そんな言葉を残して。 尚、その間も東条 千秋は俺を睨んでいた。 …待って、こいつと2人っきりとか本当に無理なんだけど。 まず、俺の想像と全然違い過ぎて頭ついていってない。 えっ、俺は公開処刑されるんじゃないの? 子分全員に殴られたり蹴られたりして東条 千秋は俺のこと笑って見てるもんだと思ってたのに…何だこれ? 「おい」 なんて考えてたら東条 千秋が話かけてきた。 俺は顔あまり見ないようにして東条 千秋に顔を向ける。 東条 千秋は俺を呼んでおいて無言になってしまった。 何がしたいんだ、こいつ。 「……」 あー、もしかして俺、公開処刑じゃなくてタイマンするのかな! だから屋上を選んで、逃げれない状況を作り出したのか。 うーん、そんなことしなくても俺は喧嘩したことない上、こいつなんて雲学の不良トップなのだから俺ことを瞬殺できるだろう。 わざわざ屋上に呼ばなくても良かったのに。 てか、この無言やめようよ。 最近、無言なるよなー。 俺のせい? 「…る。…い…う……。」 ん? 「井上 小春。」 おっと、呼ばれているのに気づかなかった。 って、おぉ!? 前を向いたら東条 千秋が睨んだまま俺に近づいてきていた。 反射的に俺も後ろへ下がる。 えっ、ちょっと、待って。 俺はタイマンとか無理だって! 俺の考えを知らない東条 千秋はどんどん近づいてくる。 勿論、俺は後ろへ下がって逃げる。 それを繰り返してついに… カシャン。 俺は屋上にあるフェンスに背中がぶつかる。 そして当然のように東条 千秋は俺に追いついた。

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