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第82話

☆種目☆ 雅さんが生徒会室から去っていった。 俺達はもう溜め息をつく。 「マジで雅さんっていきなり来るわ、無理なこと言っていってくれるわ。マジ困る」 東条はやれやれといった感じに言う。 「まぁ、今回は学校が決めたことだから雅さん限定ではないけどね」 「そうやな。その上、保護者会にまで手回すしとくっちゅうのは仕事が早い」 「とりあえず、時間ないから考えちまおうぜ」 「「「おー」」」 *** 「とは言ったもののでてこねぇもんだな」 あれから数十分経ったが俺達は案が一つもでてこなかった。 「いやー、雅さんが一つでええって言ってたから案外楽かと思ってんやけど難しいもんや」 「そもそも昨日から考えて何も出ない状態からの今日結論だせって言われたらこうなるわ」 まぁ、そうだよな。 2日で結論出るなら苦労はしない。 「新しい種目っていうのがなー」 再び俺達は腕を組んで悩み始めた。 こう雲学の種目のリストを見ると100m走、借り物競争、持久走、リレーなどド定番すぎるんだよな。 もうちょっと変えれば楽しそうなんだけど…。 んっ?変える? あっ、そうか! 「あえてド定番の種目を自分達流にアレンジするのは?」 俺の発言に全員が顔を向ける。 「例えば?」 でもすぐ透が質問してくる。 うーん、例えばねぇ……。 「雲学は男子校なんだから体力は多少はあるだろう。100m走を200m走にするとかさ。なんとでもできるだろう」 とは言っても体力あんまりない生徒(俺とか)には辛い話だけど。 後、説明するのが遅れたけどこの雲学の体育祭はクラスごとのチームだ。 勿論、学年も違うから力の差も当然出てくる。 しかし稀に下克上が起こるらしく学校側もそれを期待して変更する気がないらしい。 全くどこまで自由な学校だ。 でもクラスごとにすると数が多くなって種目一つ一つの効率が悪い。 例を挙げるとリレーとか。 「それにリレーなんてクラスごとだからって予選行うとか謎過ぎ。だったら各クラスごとから代表者出して学年一つのチームにしてやった方が効率も良くなるだろ」 「「「あぁ」」」 全員は納得したような顔をした。 100m走の方は例で言ったけど、 リレーの方はアレンジというより文句だわ。 でも効率が悪いおかげ去年の体育祭は閉会式終わって6時頃だぞ。 遅いだろ。 個人的に早く終わってくれると嬉しいし。 「だったら綱引きも各クラスごとだからリレー同様にクラスの代表者出すやつの方がいいかもしれねぇな」 「そうだな」「そうやな」「うん」 東条が新しい案に全員賛同する。 *** あれから俺達は大体の種目ごとにアレンジを加え、改善点を出しては直すことを行った。 「雅さんに一つでええって言ったけど沢山案でたな〜」 「まぁ、案っていうよりアレンジと改善点出しただけだけどな」 「じゃあ、それを雅さんに出しにいくぞ」 東条は立案用紙を持って職員室へ向かって行った。 それを俺達もついて行った。 職員室にいた雅さんに案を見せたら案外すんなりOKされたから拍子抜けしてしまった。 逆にアレンジしたのと改善点出して褒められた。 いやー、良かった、良かった。 褒められて皆機嫌もいい。 そして俺達は上機嫌のまま帰った。

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