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第6話 痴漢
朝の電車、ゆらゆらと傾く。
あー眠い。
出入口付近の横に立ち、窓の外を眺める。
大学の駅までこちらのドアは開かないので気が楽だ。
今日は雨だからか乗車率が多い気がした。
横を向いていると前に人が来たときに目のやり場に迷うから外に向く。
うつらうつらと首がかしげてしまう。
昨日夜までアニメの再放送を見てしまったのが原因だろうな。
気を付けないと。
目を瞑った瞬間、お尻に違和感が
!? え
撫でるように上下で繰り返される手の動き。
ちょっと待って。
僕、男ですと言いたい。
手すりをぎゅっと掴みその行為に耐える。
「君、めんこいね」
と言われ、そのままぐっとお尻に男の熱いなにかが近づいてきた。
ひっ
こ…声出る。
助けを求めたいけどこすられる行為が僕のモノも元気になり始める。
なんで…嫌なのに……。
「大丈夫か?」
!?
上を見上げると蒼井先生がいた。
先生と背の高さが違うため、巨人に一瞬声かけられたかと思ってびっくりした。
先生は横に立っている。
いつからいたのか分からなかったが見ていると後ろのおじさんを睨んでいた。
はぁはぁ……。
よかった。
とお礼を言おうとしたら先生はまた赤面していた。
口に手をおいている。
『次は~次は~』と駅の案内が聞こえた。
先生と一緒に出るが、うまく歩けず立ち止まってしまい、僕は先生のワイシャツの裾を掴んでしまった。
「ま…待ってくだしゃい」
うわぁー噛んだ。
「お…おう、トイレ行かなくて平気?」
と顔を覗き込まれる。
確かに少し勃起している。
慌ててトイレに向かい、出すものを出した。
恥ずかしさのあまり先生の顔を直視できない。
「あーまだ1限カフェにでも入るか」
こくりと小さく頷く。
朝のカフェはそんなにいない。
「そこ座ってて」と言われ鞄を置く。
「ココア」
「あ、お金」
「いいよ、話したくなかったらいいけど、あーいうのってよくあるの?」
「いただきます……。……年に数回」
「数回ね、いつもおなじおっさん?」
「……分からないです」
先生と気まずい空気で押しつぶされそう。
「ふーん」とそれ以上のことは聞いてこなかった。
大学の近くで外は学生がよく通る。
女の子たちが店内に入ってきた。
「あ、蒼井先生!! おはようございます」
「あ、おはよう」
蒼井先生はイケメンだし背高いしで多分女性からモテるんだろうな。
僕は男の人からのアプローチがすごいけど……。
「隣いいですか?」
「どーぞ」と気楽に言ってる。
「先生、例の噂知ってます?」
「例の噂?」
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